「とにかく人の配置が間に合っていません。子育て中の人もいますし、私のように親の介護を抱えている人もいます。互いの事情を聞いて、シフトを組むだけでも一苦労」と話すのは、異業種から転身して30年のDさん。
勤務先の開所時間は、8時から18時半まで。出席率は約50%。
「通常3クラスを2クラスに編成して保育をしているので、子どもたちの集団が変わったり、いつもの指導員とは違う体制になっています。すると、コミュニケーションをとるのが苦手な子のなかには、パニックになる子もいます。
また、春休みからの登所予定だった子どもたちが『もう家の中にいるのは限界』と言って、前倒しして登所するケースもありますし、学童に登録していない子も預かることになっています。人数は増えていく傾向にあるだけでなく、新たに来る子たちがどんな子たちかわからないのが不安です」
――不安とは?
「どんな特徴や性質を持っている子たちかわからないので、例えば友達とケンカしたときに、どのように声をかけてあげるのが適切かはすぐにわかりません」と言った後、Dさんは「その子の困っていることに気づいてあげられないかもしれない」と続けた。保育者として、どの子にもできる限り寄り添ってあげたい――。そう思うからこその不安なのだ。
軽視される指導員の仕事
40代のEさんも、公設公営の学童保育所に朝から勤務する。運動場や多目的室も使用でき、他自治体に比べると、マスクや消毒液なども比較的支給されているほうだという。市の担当課から応援要員も派遣しようという話もあった、とEさんは口ごもる。
「閉館中の公共施設の職員を派遣しようということになったんですが、丁重にお断りしました。はっきり言って、この非常事態に部外者には来てほしくないんです。いつも以上に忙しいときに仕事を教えねばならず、指導員の負担が増えるだけだからです」
よかれと思っての応援体制だろうが、そこには学童保育指導員という仕事への軽視が透けて見える。
「誰でもできる仕事だと思われているんですよね。残念なことです」と、Eさんはため息をついた。
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