新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アメリカでも多くの都市が住民に外出禁止を求めるなどの対策に乗り出している。グーグルやアップルがあるシリコンバレー、セールスフォース・ドットコムなど多くのIT企業が集まるサンフランシスコでも、4月7日まで3週間、外出できないことになった。
サンフランシスコ、サンタクララなど6郡には670万人が住んでいるが、食品の購入や通院など、生命維持に必須な活動や必要最小限の業務などを除き、不要な外出をした場合、90日以下の刑務所留置か、50ドル以上、1000ドル以下の罰金が科される。この厳格な行政命令は「シェルターインプレイス(屋内退避指令)」という。
シリコンバレーに感染者が多い理由
この措置は、3月16日月曜日午後 、サンフランシスコのロンドン・ブリード市長らを含む6郡の当局者たちが、ベイエリアのウイルスの震源地となっているサンタクララ郡で、共同記者会見した際に発表。1日には数えるほどもいなかった新型コロナウイルス感染者は、17日にはシリコンバレーで356人(カリフォルニア州全体では740人)に急激に増えていることから、人々の動きを制限し、医療崩壊を防ぐために手を打った。
なぜ、パロアルトやサンノゼ、マウンテンビューを含むサンタクララ郡に罹患者が多いのか。シリコンバレーには「IC」こと、インド人と中国人のエンジニアが多いが、製造関係で中国に多くある工場に出張したり、中国出身のエンジニアたちが旧正月で中国に戻ったりしたのがその一因だ。
2010年5月にカリフォルニア州立大学サンフランシスコ校医学部で、「Prevention of the Next Pandemic(次のパンデミックを防ぐ)」というシンポジウムを主催したシリコンバレー在住のUSジャパンフォーラム設立者の井手祐二氏によると、「同シンポジウムではウイルスの早期発見と、早期治療が結論だった。アメリカの感染者数は来週で2万人を超え、3月末には10万人に達するのではないか」と予想する。
外出禁止令に先駆け、15日にはカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、同州にあるすべてのバーとナイトクラブを閉鎖。ロサンゼルス郊外のディズニーランドは3月12日から、ユニバーサル・スタジオは14日から臨時休園している。
シリコンバレーでもフェイスブックの年次開発者会議のF8が中止、グーグルはエンジニアに人気の主要開発者会議「I/O」の開催を5月に予定していたが中止を発表し、徴収した参加費を返金した。オンライン会議の開催を検討しているという。
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