幡野広志「人の悩みに答える男」の偽らざる素顔 余命3年宣告された「なんで僕に聞くんだろう」
自分とちがう人の話は面白いですよ。それぞれの経験が違うから、見えている世界も、感じている世界もまったくちがいます。面白いというのは、ゲラゲラ笑うことではなく、考えさせられるということです。その魅力を子どもに教えたいし、面白さに気づける人になってほしいと思っています。
子どものころ、誰も僕のことを褒めてくれませんでした。なので大人になったいま、人からどんなに褒められても、心から信じることも喜ぶこともできないのです。それでもなんとかやっていけてるのは、自分で自分を褒めているからです。
自己肯定感は今でも低い
――何をきっかけとして、自己肯定感を自分自身で培う技を体得したのでしょうか。
僕、自己肯定感は今でも低いですよ。自信満々に見られるかもしれませんが、自信は決してありません。今回の著書で初めて表紙に写真を入れたのですが、今までの2冊の著書は自信がなくて写真を掲載しませんでした。自信がないのは幼少期の経験によるものからですね。どんなに褒められても信用できないのです。
自己肯定感が低いことのメリットは、天狗にならないことですね。「俺は凄いんだぜ!」とは絶対になりません。自己肯定感を培うのには、幼少期に親が子どもを褒めたか褒めていないかがいちばん大きいと思います。
最近3歳の息子が、脱いだ服を自分で畳むようになり、それを褒めたら照れ隠しで急に本を読みだしたんです。恥ずかしかったんでしょうね。それを見て、「これが褒められた時の純粋な人の感情なんだ。褒められると、人って照れるんだな」と思いました。
子どもの人生は親をしあわせにするためにあるのではなくて、子どもがしあわせになるためにあります。
――20歳になった息子さんにメッセージを伝えるとしたら?
「好きなように生きなさい」って言うだけですかね。
息子が20歳になるのは17年後になりますが、17年経ったら、iPhoneもスマホもパソコンもなくなっている可能性があります。機能が入った眼鏡やコンタクトレンズを付けているかもしれませんし、ICチップが身体に埋め込まれているかもしれません。
今の価値観で17年後の子どもに何かを残さないほうが良いと思っています。だってもし、僕のひいおじいちゃんが、ひ孫の僕に手紙を残していたとして、その時の価値観で手紙に書かれていても困りますからね。その時代に生きる人が、その時代のことを自分で考えて生きたほうが良いですよね。
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