幡野広志「人の悩みに答える男」の偽らざる素顔 余命3年宣告された「なんで僕に聞くんだろう」

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おもちゃ屋さんの前で、おもちゃが欲しくて泣いている子どもは、おもちゃを買ってもらえないことに泣いているのではなく、「そんなのいらないでしょ」と自分の感情を大人から否定されていることに、泣いていると思うのです。

泣いている子どもを泣き止ませることを目的とするなら、まず感情を肯定してあげることです。そうすれば、信頼も生まれると思います。

――どうして、共感しようと思えるように?

もし自分だったら…という感覚で考えるようにしてしまう。例えばインフルエンザになって体調が辛いとき、それを理解されなかったら辛いですよね。感情の否定は、大人でも辛いです。

子どもの欲しがるものは、大人から見たらくだらないものが圧倒的に多いと感じますが、子どもからしたら宝物です。子どもと仲良くなりたかったら、子どもの好きなものを肯定するところから始めたほうがいいと思います。

子どもって、自信がなくて、孤独がこわいんです。だから親にだけ強い態度をとることができて、同時に親を一人占めしようともするんです。

――それはご自身の子ども時代の経験からの考え、それとも子育ての経験を通して得た考え?

子育ての経験ですね。子どもは、親に見せる顔と他の人に見せる顔は違います。それは、親に対する安心感からだと思います。

息子は、僕が他の子と遊んでいると嫉妬するときもありますし、妻を叩いたりすることもあります。こういうことを見過ごしてはいけなくて、もしこのような行動が見えたら、子どもが小さいうちに親が上手く解消してあげないと、将来付き合っている彼女やお嫁さんに暴力を振るってしまうようなDV男になってしまう可能性だってあるんです。DVをしている男性というのは、身体は大人でも心は子どもと一緒だと思うんですよ。

子育ても国から成績をつけられるようになったら、きっと少子化に拍車がかかるんじゃないですか。

親の採点は子どもが大人になったときにするもの

――ご自身で子育ての成績は100点満点中何点?

それを採点するのは息子だから、僕にはわかりません。自己採点することもできませんよ。僕は子どもに怒ったことがないのですが、注意やしつけはします。子どもからすると、それは怒っているようにも見えますよね。

新刊を手にした方は、ぜひカバー(写真上)をはがしてみてほしい。そこには彼の“好きなもの”が詰まった写真がデザインされている(写真下、撮影:幡野 広志)

こちらの感覚と子どもの感覚は違うので、親の採点というのは、子どもが大人になったときにするものだと思います。自己採点したものを将来息子がみたら「ふざけんな!」って言われてしまうでしょうし、もし僕の親が、「自分の子育ては100点でした」なんて言ってきたら「ふざけんな!」って言いますよ。

――息子さんに教えておきたいことは?

障がいがあろうがなかろうが、人は国籍も性別も病気も多様性があって、あたりまえということを教えます。そして何よりも自分と違うことが、たのしいということを教えると思います。

拒絶するのではなく、無理やり好きになるのでもなく、自分と違う存在をまずは認めるということです。

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