”凡人”のためのストレスマネジメント ノマドや起業家を目指さない人へ

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承認欲求の扱い方

それから私がもうひとつとても印象に残ったこととして、別の人から「人は人、自分は自分」というアドバイスを受けたことがありました。これも当時の私には今いち刺さらず、よくある話だと聞き流していました。

要するに承認欲求を捨てよということなのですが、人間、そんなに簡単に承認欲求を捨てられるわけではありません。誰でも褒められればうれしいし、けなされたくはないものです。ある意味、脊髄反射の一部で、承認欲求を失ったらその瞬間に成長は止まると思っていました。成長は今の自分に不満がなければいけないもの。モチベーションの原動力は承認欲求でもあります。承認欲求を失ったら他人に関心がなくなり、人間性まで失ってしまうのではないか。そんなことさえ思いました。

でもこれも自分の中でさんざん考え、ある言い換えで納得できるようになりました。要するに「コントロールできないものにコミットしてはいけない」ということです。自分の気持ちはコントロールできますが、他人の気持ちはコントロールできません。だとするとコントロールできない他人のさじ加減にやきもきするというのも、なんだか関心の方向が違う気がします。要は相手の決めることを、自分が決める義務も権利もないということです。答えのない問題を悩んでも仕方ないということです。これは真理です。

人間できることしかできません。できないことはできません。今できることをやるしかありません。そして精いっぱい努力した結果、そこから先、その内容を他人がどう思おうが、どう評価しようが、関係ありません。他人の意思決定にコミットはできないのですから、それは当然です。

このことは、承認欲求を失ったのでも成長に不感症になったのでもありません。承認欲求は自分の中に持つべきです。つまり自分自身の評価軸です。今日の自分が昨日の自分とどう違ったのかという、そこだけを問うていくべきだと思います。

単純だし地味ですが、なんだかそれがその地味さが、凡人(たる自分)のストレスマネジメントなのかもしれません。

※ 本文は筆者の個人的見解であり、所属する組織・団体を代表するものではありません。

中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー

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なかざと もとい / Motoi Nakazato

企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
慶応義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。日本IBM、マーサージャパン、コーポレイトディレクション(CDI)での戦略コンサルタント/プロジェクトマネジャーを経て、10年より企業再生・地域経済活性化を支援する官民ファンド勤務。ターンアラウンドマネージャーとして、さまざまな業種における企業再生(戦略立案・実行)に従事。グロービス・マネジメント・スクール講師、グロービス・パートナーファカルティー。
Twitter:@chu_riki 筆者連絡先:motoinakazato@yahoo.co.jp

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