”凡人”のためのストレスマネジメント

ノマドや起業家を目指さない人へ

無責任に聞こえる他人からのアドバイス

先ほどと似た話に聞こえるかもしれませんが、私がストレスを抱え込んでいたあるとき、行き詰った私に、「明けない夜はない」と言ってくれた人がいました。

正直、やたらに楽観的なアドバイスで、当時の私にはまったく刺さりませんでした。「そりゃ夜は明けるだろうけど、そこが問題ではなく、今の夜の状態に耐えられないから問題なんだよ」と、心の中で叫んでいました。

でもそのストレス期間が一巡し、自分なりにこう整理すると、なんだか腹落ちするようになりました。「『明けない夜はない』はよく考えると、今を否定的にとらえる概念だ。そうではなく、今、つらくてもその経験は自分を必ず成長させる。そうした自覚の後に、夜は明けるのだ」と。要するに今を肯定的に、夜明けを能動的に言い換えるようにしました。

たまにですが、そもそも夜が来ない人、たとえば新卒からつねに上座にいられる挫折のないエリート人生の人がいます。うらやましくもありますが、修羅場に最も弱い人は、そういう人だったりします。人間の器とは、言い換えると、その人が経験した喜怒哀楽の振れ幅なので、悩みや苦労は自分の器を大きくする大事な時間でもあります。繰り返し連載で述べていることですが、それが不条理であればあるほど、自分を成長させられるのも経験的事実です。

それに「明けない夜はない」の概念だって、捨てたものではありません。たとえば小さな池の中での悩みなのに、人生という大海の一大事のように感じてしまう。自分という人間の一部を否定されたり、苦手だったり、経験がなかったりしただけなのに、全人格を否定されたように感じてしまう。

大学入試で滑り止めに落ちたり、就職活動で記念受験に落ちたりするとき。もともと行けると思っていないし、受かっても行くつもりがない場面でも、拒絶されることは、何か自分という存在を否定されたように感じてしまう。でもそれは自分のほんの一面であり、たかだか何十分かの時間で判断されたにすぎません。そんな中で全人格を(自ら)否定するのも、ばかばかしいものです。会社での悩み、学校での悩み、それはあくまで閉じられた関係の中での世界です。世界はもっと広くて大きいもの。「夜が明ける」というそんな意識で相対化することは、とても重要だと思います。

自分が若手のときは、周りのすべての人がスーパーマンに見えるものです。でも時間が経ってあらためて振り返ると、あのとき出てきた突拍子のないアイデアは、あの事例の応用ではないかとか、入り組んだ議論の超絶整理は、結局、ファシリテーションの基本に沿ったアプローチだったのではないかと、要は引き出しの豊富さに裏付けられていたんだと、だんだんわかってきます。大抵のことは時間が解決してくれます。

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