テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域 いまだ変わらぬ視聴率至上主義の中高年シフト

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この4作は高視聴率を獲得できないかもしれませんが、日本テレビがコアターゲットにするなど広告収入につながりやすい4~49歳の支持は厚く、その点ではそれなりの成果を収めるでしょう。75%を刑事・医療ドラマが占める今冬では、なおさら希少価値が高く、最後までドラマフリークたちのよりどころとなりそうなのです。

バラエティーも中高年向けで危険水域に

ここではドラマに焦点を当てて書きましたが、危険水域に入っているのはバラエティーも同じ。目先の視聴率を獲得するために、健康、家事、カルチャー、教養などがベースの中高年層向け番組が増える一方で、若年層の心をつかんでいるとは言えないのです。

ドラマもバラエティーも、まさに大同小異で「テレビはそういうもの」とみなされかねません。このような極端に偏った状況が続けば、自分に向けて作られたコンテンツを選んで、好きな場所で、好きなタイミングで見られるネットコンテンツに多くの視聴者を奪われてしまうでしょう。

各局に求められているのは、苦しい状況だからこそ広い視野を持つこと。自社の利益だけでなく、業界の利益につながることができるか? 目の前の成果にとらわれず、中・長期的な成果を見据えられるか?

指標としてすでに矛盾が生じている視聴率を各局で奪い合っている業界の未来が明るいはずはありません。「ドラマもバラエティーも似た番組ばかり」というイメージを払拭し、1人でも多くの人に「テレビは面白い」と思わせるには何をすればいいのか。

番組の多様性を取り戻していくことはもちろん、それぞれの質を高めていくことが、広告収入にしろ、視聴収入にしろ、ビジネスとしての成功を収めることにつながるでしょう。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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