テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域 いまだ変わらぬ視聴率至上主義の中高年シフト
年明け早々から2020年代最初の連ドラがスタートしていますが、気になるのは放送前の段階から「相変わらず人が死ぬ刑事ドラマばかりでしんどい」「医療ドラマばかりで見ていて気が滅入る」などのネガティブな声が続出していること。それも無理ありません。
今冬は最も視聴者の多いプライムタイム(19~23時)に放送される16作中、刑事ドラマが6作、医療ドラマが6作という極端に偏ったラインナップなのです。
「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系、月曜21時)
「相棒」(テレビ朝日系、水曜21時)
「科捜研の女」(テレビ朝日系、木曜20時)
「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(テレビ朝日系、木曜21時)
「駐在刑事 Season2」(テレビ東京系、金曜20時)
「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」(NHK、金曜22時)
「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」(テレビ東京系、月曜22時)
「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜22時)
「アライブ がん専門委のカルテ」(フジテレビ系、木曜22時)
「病院で念仏を唱えないでください」(TBS系、金曜22時)
「心の傷を癒すということ」(NHK、土曜21時)
「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系、土曜22時)
救うにしても死んでしまうにしても
全体の75%が、救うにしても死んでしまうにしても、命をめぐるシリアスなストーリーであり、「しんどい」「気が滅入る」と言いたくなるのも仕方ないのです。
極端に偏ったラインナップになったことで懸念されるのは、若年層のドラマ離れ。例えば、「アライブ」はがん、「トップナイフ」は脳外科に特化した物語であり、中高年層がターゲットであることは明らかです。若年層に「がんや脳の病気に興味を持て」「学校や職場から帰ってきたあとに命を救うドラマを見て」というのは無理があるでしょう。
そのほかの刑事・医療ドラマも、ほとんどが中高年層をターゲットにしたもの。さすがにここまで偏ってしまうと、その中高年層ですら「飽きてしまった」「ドラマはもう見ない」という声をネット上にあげるなど、ドラマ全体のイメージダウンにつながってしまいます。
月曜2作、火曜1作、水曜1作、木曜3作、金曜3作、土曜2作と、ほぼ毎日放送され、「テレビは刑事・医療ドラマ専門チャンネル」と揶揄されるほどの危機的状況は、なぜ訪れてしまったのでしょうか? また、どんな改善策が求められるのでしょうか?
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