テレビドラマ「刑事・医療系が75%」の危険水域

いまだ変わらぬ視聴率至上主義の中高年シフト

現在プライムタイムのドラマを手がけているクリエーターは、「刑事・医療ドラマの制作に慣れている」「連ドラらしい連続性より、気軽に見られる1話完結の物語が得意」「視聴率獲得のために割り切ったドラマ作りを徹底できる」というタイプが多数派を占めるようになりました。

すなわちプライムタイムのドラマでは、質の高い1点物の逸品を作るクリエーティブさより、少しずつ色や形を変えて日用品を作るそつのなさが優先されているのです。テレビ局にとって、ドラマを手がけるクリエーターたちは、強みであり宝とも言える存在。最も多くの人々が見るプライムタイムに、その強みや宝を生かせない現状こそ、危険水域に入ったことの証しなのです。

視聴率獲得を狙うほどガラパゴス化

最後にもう1つあげておきたいのは、刑事・医療ドラマのガラパゴス化。もともと刑事・医療ドラマは海外でも人気のジャンルであり、海外番販(海外への番組販売)やリメイクという点で期待できるはずなのですが、日本の作品は必ずしも世界各国で受け入れられるとは限りません。

日本国内で視聴率を獲得するために作られた刑事・医療ドラマは、日本人の一定層にだけ響く作品になりがちで、脚本、演出、演技、美術、音楽、放送回数などの面で「海外の人々にフィットしない」というケースが少なくないようなのです。そもそも「日本国内ですら中高年層以外の支持をなかなか得られない作品を海外の人々に買ってもらうことが難しい」のは当然でしょう。

ドラマというコンテンツそのものは、動画配信サービスの発達と普及によって、世界中の人々に見てもらえるチャンスが広がっています。だからこそ刑事・医療ドラマを制作するにしても、日本国内で視聴率を獲得するための作品ではなく、クリエーティブなものが求められているのではないでしょうか。

ちなみに今冬に放送されている刑事・医療ドラマ以外の作品には、謎が連鎖する長編サスペンス「10の秘密」(関西テレビ、フジテレビ系)、週刊誌が舞台のお仕事ヒューマン作「知らなくていいコト」(日本テレビ系)、タイムスリップを絡めたファンタジーミステリー「テセウスの船」(TBS系)、アクションを絡めた痛快ミステリー「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(読売テレビ、日本テレビ系)。

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