経営危機の「女子校」を一変させた校長の手腕

武蔵野大学中学・高校を変えた「日野田直彦」

偶然にも、筆者も同志社国際高校の出身。筆者の場合は高校からの一般生(国内中学校出身)で、帰国生の奔放さとパワーに圧倒されっぱなしだったが、同校では自分とは何か、自分には何ができるのかを強烈に植え付けられた日々だった。

「“あなたは何者?”、“(社会に対して)どんな貢献ができるの?”って聞かれたとき、自分の言葉で答えられる生徒を育てたい。これは、自分が中高時代に受けてきた教育を真似し、今のグローバルスタンダードに進化させているだけなのです」(日野田校長)

日野田校長は同志社大学在学中からITに関わる仕事を経験。大学卒業後はいろいろな道を模索したが、幼少期から祖父の戦争経験を聞く中で持った疑問「なぜ日本が第二次世界大戦に踏み込んだのか」「そのとき、どのような意思決定・合意形成がなされたのか?」「戦後の焼野原からなぜこのようなスピードで世界第2位の経済大国まで復活できたのか?」が頭を離れなかった。

そのため組織論や社会論、そしてその根源となる「教育」を知りたいと考えると共に、今の日本の教育のいい点と課題にアプローチしたいという思いが根底にあって関西の進学塾へ就職した。日本の一般的な教育や受験がどのようなものか、自分の目で見て確かめるためだった。

公立学校の最年少校長に就任

2008年には奈良学園登美ヶ丘中学・高校の立ち上げに携わり、2014年に大阪府の公募等校長制度によって府立箕面高校の校長に着任。全国の公立学校としては最年少(36歳)での挑戦だった。

箕面高校での実績は、著書『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』(IBCパブリッシング)に詳しい。

着任3年後、2017年には「THE世界大学ランキング」32位のメルボルン大学、60位のシドニー大学、そして世界で注目を集めるミネルバ大学(全寮制のオンライン大学。2017年度の合格率は1.9%で、ハーバードよりも難関である、ともいわれている)に日本の一条校としては初めて合格者を出すなど、海外30大学へ累計36人の合格者を出した。

【2020年1月28日14時15分追記】初出時、ミネルバ大学に関する記述に一部間違いがありましたので上記のように修正しました。

この実績が表立って取り沙汰されるが、日野田校長自身は決して海外大学進学を推奨しているわけではない。あくまで生徒自身が自らの意志で、夢を叶える手段として海外大学進学を決めたのなら、その決断を徹底的に応援し、最大限の可能性を広げるのが役目だというスタンス。だからこそ、海外大学へ進学しても最高峰の成績「Aプラス」をもらえる卒業生を輩出できた。

偏差値は幻想、というのが持論だ。

「ハーバードに何人、東大に何人って、合格実績の指標で高校を評価するのはナンセンス。もう一流の大学に行ったからスゴイ人、という時代ではないから。生徒に言っているのは、もし自分が本当に心の奥底からすし屋になりたいのなら、たとえハーバードに合格しても蹴って、すし職人の修業をしたほうがいいってこと。自分で人生の舵を握るのであれば、別に大学なんて行かなくてもいい。とにかく、いつもワクワク、イキイキしている大人になってほしい」

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