日本とフランス、「年末年始」はこんなに違う 年始には人々を困らせるあしき風物詩も

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そして、新年にも贈り物をすることがある。フランスでは「エトレンヌ(étrennes)」と呼ばれていて12月31日や1月1日に子どもや家族に贈り物をするんだけど、住んでいるマンションの管理人さんなんかにも日ごろの感謝の意を込めてなにかプレゼントするんだ。

日本でも年末年始はプレゼントとかを贈るのかな?

くみ : 日本では、まずお正月に贈り物をする習慣はないと思う。高校生くらいまでの子どもたちに、親そして親戚の大人たちがお年玉をあげるくらいじゃないかな。一方、クリスマスは、フランスとあまり変わらないかも。ただ、子どもが小さいうちは家族でクリスマスをお祝いするのが普通だけど、親戚一同が実家などに集まってお祝いはしないよね。

だから、私がよく日本人あるいはフランス人に双方の習慣を説明するとき、フランスのクリスマスは、日本で言うお正月のイメージだと言う。みんな実家に帰って家族や親戚一同でクリスマス独特の伝統的なご馳走を食べてゆっくり過ごすから、パリはお店も閉まって街も閑散としてるよね。私は、12月25日はよく東京のお正月を思い出している。

アペリティフがものすごく長い

エマニュエル : フランスの年末年始のお祝いの特徴として、よく食べるということがある。年末になるとフランス人のコレステロールが20%ぐらいあがるといわれているらしい。会社の食堂でも12月末にはクリスマス特別メニューが用意されて、会社によっては社員みんなに無料で提供されることもある。

24日の夜に親戚一同が集まって夕食をとるんだけど、そのときも本当にたくさん食べるんだ。シャンパンとおつまみからゆっくりと始まり、前菜にフォアグラにイチジクのジャムを添えたものなどで、メインに鴨のヒナにポテトや野菜をつけあわせたものを赤ワインと一緒にいただき、チーズの盛り合わせをたっぷり食べた後に、デザートにブッシュ・ド・ノエルが出てくる。

くみ : 日本でもクリスマスはチキンとか、ブッシュ・ド・ノエルとかを食べる習慣が定着してると思う。それでも、今思うと、私自身フランスに来る前は、フランスでの定番食材をまだまだ知らなかったなと思う。

パリに来て驚いたのは、アペリティフをシャンパンで必ず長々とすること、フォアグラはほぼ必須、サーモンも定番食材だよね。メインによく使うシャポン(骨格が大きい雄鷄を去勢して脂肪分を増やして太らせた鷄)も、日本にいた頃は存在すら知らなかったけど、パリではクリスマスの時期になるとスーパーでも出回るよね。冬至も近い厳しい真冬の時期、栄養や脂肪を蓄えて過ごそうという、ある意味で動物的な、自然の摂理にかなった食材なのかなと理解してる。

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