日本とフランス、「年末年始」はこんなに違う 年始には人々を困らせるあしき風物詩も

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エマニュエル:そのほかでは、ラ・デフォンスの新凱旋門の屋上にスケートリンクが設置されていて、そこでパリの景色を見渡しながら大晦日を過ごしたり、サーカスのテントでショーをみたり、イグルーの中で年越しをしようというイベントもあるよ。イグルーはアルプスの近くのプラーニュという町でスキー場の近くにイグルーでできたホテルがあって、そこに大晦日の夜にみんなでお祝いするんだ。

ドーヴィルという町の海ではお正月に寒中水泳をして、泳いだ後に温かい飲み物やお菓子が参加者に配られて、みんなで新年を祝うイベントもある。

フランスの新年のネガティブな風物詩として、車を燃やすというのがあるんだ。もちろん一部の悪意ある人がするんだけど、たいていはあまり治安のよくない地域で行われて、毎年700から1000台くらいの車が新年に燃やされていると発表がある。

このほかには、年明けの瞬間に「あけましておめでとう」とできるだけうるさく叫ぶというのもある。わざわざ窓を開けて叫んだり、外に出て叫んだりと年明けの瞬間から15分くらいはあちこちで誰かが叫んでいる声が聞こえてかなりの騒音になる。くみは、初めて体験したときって結構驚いたんじゃない?

興奮して車を燃やしてしまう?

くみ:車を燃やすのはフランスに住むようになって知って、本当びっくりした! 車が燃やされることって、たとえ1台でも日本ではありえないと思うんだけど、それがそれだけ多くの台数、しかもお祭り騒ぎで盛り上がって燃やすって……。

サッカーで盛り上がったフーリガンが暴れるのは日本でもある程度報道されて知られてると思うけど、恨みや怒りが理由で破壊するとか暴れるのではなく、たとえ理由がポジティブであっても単に興奮してそれだけの破壊や迷惑行為に及ぶのって、いまだに私には信じがたい。

エマニュエル:年末の恒例として、政治家や会社の社長などがお祝いのスピーチをすることがある。このスピーチでは今年の総評や来年の目標などが話され、長々と毎年同じようなことを繰り返し聞かされるので、あまり真剣になって聞いている人は少ないんじゃないかな。

くみ:いつも大統領が演説してテレビ中継されるよね。日本では首相の年頭所感は1月1日。やっぱり、年が明けてからだね。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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