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28歳「中国残留孤児3世」が日本で直面した現実 5歳で来日、捨てられた家電を拾って暮らした

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  • 大塚 玲子 ノンフィクションライター
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言葉の壁からなかなか定職に就けなかった父親も、ここ数年は事業が軌道に乗り、再婚相手の女性とともに、日々忙しく働いているということです。ちなみにむつきさんは、この父親の再婚相手の女性――「2ママ」(2番目のママ)と呼んでいる――とも仲がよく、また1ママ(北京にいる父親の前妻)と2ママも、非常に仲がいいということです。

「2つの文化」のせめぎ合いを経験する子どもたち

いま日本では外国人の雇用が増え、親に連れられて来日する子どもがとても増えています。これまでの言語が通じない国で、環境変化に戸惑う子どもたちに、何かアドバイスできることはあるか?と尋ねると、彼女はこんな話をしてくれました。

「自分がこれまで持っていた文化と、日本の文化がぶつかり合うときって、必ずあると思うんです。とくに子どもの場合、家ではこれまでの文化、学校では日本の文化に接するから、両者がせめぎ合って、結構悩ましいと思う。挟まれていると、つらくて逃げたくなるんです。学校に行きたくなくなったり、逆に、家族と話したくなくなったりする。

そういうときには、『自分はこうする』と選択をして、かつそれを言葉にしていくことが大事だと思います。『私はこうする』と自分にも周囲にも宣言することで、どちらにも流されないようにできると思うので」

そしてもう1つ、「2つ以上の文化やルーツをもつのは、決して悪いことではなく、自分の人生をさらに豊かにできるすごいことなんだ」ということも、伝えたいそう。

例えば、今むつきさんは「赤」という色が大好きですが、高校生の頃まではずっと「なんとなく避ける色」だったといいます。赤は中国の国旗やお祝い事などに必ず使われる、象徴的な色ですが、彼女は高校生の頃まで「日本に育ったのだから日本人でなくてはいけない」という意識が強かったため、赤を避けていたのです。

しかしその後、アメリカの大学に進学し、さまざまなバックグラウンドをもつ人と交流する中で、むつきさんは中国と日本という2つのルーツをもつ自分を肯定できるようになりました。そこでようやく「赤を好きな自分」を許せるようになったのでしょう。

2つの文化がせめぎ合ったときは、どちらか一方を否定するのでなく「両方いいじゃない」と肯定できるといいのでは。そのうえで「自分が何を選択するか」を、都度決められるといいのかな、というふうに筆者は受け止めました。

本連載では、いろいろな環境で育った子どもの立場の方のお話をお待ちしております。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。

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