“両親と血のつながった子ども”という、いわゆる「ふつうの家族」とは違う環境で育った人たちのなかには、親や周囲を恨み、怒り悲しんでいる人もいれば、むしろ誇りに感じている人もいます。
親の離婚や再婚を通して深く傷つき、長く癒えずにいる人もいれば、損なわれることなく、その後の人生を楽しんでいる人もいます。
その差は、いったいどこから生まれるのか? 筆者自身が離婚して、ひとり親というある種イレギュラーな立場に立ってから、ずっと考えてきたことです。
中山あゆみさん(仮名・30歳)は、自分の親きょうだいに誇りをもつ後者のタイプでした。以前付き合っていた人から、両親の離婚や母親の信仰を理由に「結婚しない」と言われた際、初めて「スティグマ(世間による個人への負の烙印)を背負わせてくる社会に憤りを感じた」といいます。
公務員として働き、現在は信頼する新しいパートナーと結婚の約束をしているあゆみさんに、話を聞かせてもらいました。
両親の離婚、異父・異母きょうだいたち
両親がいつ離婚したのか、正確なことはわかりません。父親が帰ってくる日がだんだんと減り、いつの間にか「お父さんの家」が別にできていました。別居かと思っていたら、ある日母親が「うちは離婚したのよ」と知り合いに話しているのを耳にしたのが、小2か小3のとき。
当時中学生だった7歳上の姉や、母親の話を断片的につなぎあわせると、離婚原因はどうやら父親の浮気と、会社の倒産でした。母親と折り合いの悪い祖母が、あゆみさんたちと一緒に暮らすようになったのも、父親が母の実家の土地を担保に入れていたせいらしい――。はっきりしないものの、「いろいろあったよう」でした。
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