30歳女性が「結婚白紙」で初めて親を恨んだワケ 憎めなかった父、自由に生きる母への思い

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お母さんやお姉さんのエピソードを聞いていたら、あゆみさんが自分の育った環境を肯定的に捉えているのは当たり前のように、なんとなく思えてきました。

初めて感じたスティグマ、社会への憤り

あゆみさんが初めて、そして唯一、自分の家族に「恨みのようなもの」を抱いたのは、以前付き合っていた人から結婚はしないと言われたときでした。

「相手はネットに書いてある陰謀論をそのまま信じるような人で、母が信仰している宗教に関するデマを見て『危険だ』と言い出したり、シングルマザーで苦労しながら私を育ててくれたことも、宗教のお金の話に絡めて曲解してしまったり。本当にデマを信じる人っているんだな、と思ってびっくりしたんですけれど(苦笑)。

スティグマに初めて生身で触れると、私もちょっとだけ内面化してしまうんですよね。自分の結婚がうまくいかない、という体験をして、初めて親がしたことを『なんか嫌だな』と思ってしまった。そんなふうに感じる自分も嫌だったし、同時に、スティグマを背負わせてくる社会にも憤りを感じました」

冒頭にも書いたように、あゆみさんは今、新たなパートナーと結婚を約束しています。「あのとき結婚しなくて、本当によかった」と思っていますが、このとき気づかされた「社会の偏見」がもつ暴力性を、いまも思い返すことがあります。

話を聞いたあと、ひとつだけ気にかかったのが、妹さんのことでした。同じ家族で育ったきょうだいでも、見ている景色がまったく違うことは意外と珍しくありません。

母親とは対照的に、世間体や金銭的なものに価値を置く祖母に育てられた妹は、学校で問題を起こしたり、警察沙汰になったりしたことも。最近は落ち着いたそうですが、彼女も母や姉たちのように、自分の人生を楽しめる人になれたらと、つい祈ってしまいます。

本連載では、いろいろな環境で育った子どもの立場の方のお話をお待ちしております。周囲から「かわいそうな子」と決めつけられて違和感を感じた経験などがあれば、教えてください。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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