30歳女性が「結婚白紙」で初めて親を恨んだワケ

憎めなかった父、自由に生きる母への思い

間もなく母親が妊娠します。相手が誰なのか、あゆみさんは知りません。思春期だった姉は、そのことで母と多少ぶつかったようですが、姉妹とも生まれてきた妹のことはかわいがっていました。しかしその後、妹との距離は次第に離れていきます。

「妹はおばあちゃん子だったんですが、祖母が『かわいそう、かわいそう』と言って、わがまま放題に育ててしまって。でも、何か悪いことをしたときは『うちの血じゃないね』などと言う。ちょっと歪んだ愛情でした。いま思えば、妹も1人だけ父親がいなくて、もしかすると複雑な思いがあったのかもしれません。でも姉や私とは年齢も離れているうえ、気も合わないので、遠巻きになってしまいました」

ひとり親家庭の子どもは周囲から、とくに祖母から「かわいそう」と刷り込まれがちですが、これは子どもにとっていちばん迷惑なことのように思います。「かわいそう」と認識させられた子どもは、自分をそんな状況に置く親や周囲に恨みを募らせ、自分を肯定的に捉えづらくなってしまいます。

前向きな母と、女性に優しい父

母親はある宗教を信仰していましたが、子どもたちに押し付けてくることはありませんでした。

「母は自分で学習塾を立ち上げたり、ほかにもいろいろとナゾの仕事をしていました。裕福な実家に育ち、離婚して急に無一文のシングルマザーになってしまって大変だったと思うんですけれど、『まあ何とかなる』みたいな感じでした。

宗教を信じていたせいもあるんじゃないかと思います。『祈っていれば何とかなるでしょう』みたいな気持ちがあるんでしょうね。なかには宗教にのめりこんで、悪いほうに行ってしまう人もいますけれど、母はいいほうに行ったのかな」

父親は近所に住んでいたため、学生の頃までは年に何度か会っていました。中高生のときは、父親から学費をもらってくるよう母親に言われ、頼みに行ったことも。お金がないときは「ないよ」と断る父でした。

その後、父親にも子どもができたようですが、実子かどうかはあいまいです。昨年父親は病気で亡くなったのですが、遺品の携帯電話にはフィリピンの女性から何度も連絡が入りました。履歴を見ると、どうも子どもが2人いたようです。父親は生前にも「子どもがいる」と口にしたことがあり、話は一致しますが、その女性とは結婚しておらず、認知もしていないため、実子だと証明するものは何もありません。

「父もちょっと変わった人で、うちの母が産んだ妹にもお年玉をあげたりしていました。自分の子どもじゃなくても、子どもを抱えて苦労している女の人が迫ってきたらお金をあげちゃうような人だから、(父の実子か相手の連れ子か)よくわからないんです。ほかにもパブみたいなところの方からいっぱい連絡が入っているので、もしかすると、ほかにも子どもがいるかもしれないですし(笑)」

女性にはルーズですが、優しい人だったのでしょう。しかし、困った面はまだありました。借金の申し込みです。

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