時間のムダ!上司に出す「日報」の致命的な欠点

社員の「やる気」を引き出せないのが問題だ

考えてみれば、日報・週報は、「報」がついているので、誰かに向かって「報告」する道具であり、通常の報告相手は上司でしょう。要は「上司に向けて」書いているのです。自分を評価する上司に向けて書くということは、ある程度「取りつくろってしまう」ことは避けられません。ありもしないことをよく書こうとすることは論外ですが、たとえ悪気がなくても、無意識に格好をつけた文章になりがちです。

報告業務の多いビジネスパーソンは、それなりの「立派な文章」を書くことに慣れています。そこに落とし穴があります。誰かに向かって書くことで、「受け身」の文章になりがちで、主体性は発揮されにくくなってしまいます。日報・週報は、「人に向かって報告する道具」である時点で、特別な工夫がない限り「やる気を喚起する道具」としては向いていないのです。

基本的に社員は「上にはよく見られたい」もの

私は企業や学校などの人材教育の分野で、ITを活用したサービスを手がけていますが、その中で、社員向けのアンケートのサービスも10年以上運営してきました。例えば、「従業員満足度調査」や、上司・部下・同僚が匿名でお互いを評価する「360度フィードバックアンケート」です。そこでわかったことは、本社の人事や総務部門が行うアンケートで、社員に本音を回答させることに苦労している会社があることです。

専門的には「バイアスがかかる」という表現をしますが、先入観があったり、周りに気を使ったりするあまり回答内容に偏りが出てしまうのです。

これは、社員が何かを隠しているとか、風土が悪い会社だからということではありません。目に見えない組織の力学とでもいいましょうか、誰でも、「上にはよく見られたい」という意識が働くのです。仮に部下と上司の関係構築が良好で、経営陣に対して全社員が信頼を寄せている会社であったとしても同様です。

話を戻して、日報・週報の欠点をよりご理解いただくために、ある営業マンAさんの週報の例を見てみましょう。

Aさんは「毎月20件の商談をする」という目標のために、「毎週5件のアポイントメントの電話をする」計画を立てています。しかしある週、Aさんは提案書の作成に手間取ってしまい、アポイントメントの電話を1件しかかけることができませんでした。Aさんの週報の「改善策」欄にはこう書かれています。

「今週は忙しくて、アポイントメントの電話を1件しかかけられませんでした。申し訳ありませんでした。やっと提案書が完成したので、来週は頑張って遅れを取り戻したいと思います」

やろうとしていることはよくわかるのですが、一方で、精神論や根性論に陥っています。これで本当に目標を達成できるのかは疑問です。というのも、Aさんには「本当の課題」が見えていないと考えられるからです。

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