PDCAがAI時代では「オワコン」な根本理由 いま米国の優良企業が重視する「OODA」とは
PDCAサイクルがうまく回らない理由
インドのことわざに「貧者に魚を与えるな。魚の釣り方を教えよ」というものがあります。魚を与えてもそれを食べてしまえば一時的に飢えをしのぐことはできます。しかし、これでは貧困の解消という問題解決にはなりません。無償で(魚を)援助するという行為は、長い目で見ると援助への依存度を高め、かえって問題を悪化させてしまいます。それよりも、魚の釣り方自体を教えるほうが、貧困、飢えの解消につながります。
しかし、魚を与えてその釣り方を教えない、というのは私たちの身の回りでもよく起こっていることではないでしょうか。例えば、PDCAサイクルということがよく実務では取り上げられます。PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、修正(Action)という順序でのこのサイクルを回していくことです。
PDCAサイクルが機能するためには、出発点である計画がしっかりしたものでないといけません。優れた計画を立案するためには、計画立案者が必要な情報を持ち、目標だけではなくそれを達成するための手段を明示することが重要になります。そのような場合、計画実行には、たとえ多くの努力や労力が現場に要求されたとしても、創造性やイニシアティブはあまり要求されません。
つまり、これは計画に従う立場の者に対して、魚を与えて釣り方を教えていないということにほかなりません。確かに、売り上げが魚だとすれば、計画は釣り方に該当します。けれども、学習する組織の次なる段階は、手段自体を魚と捉えることです。そうすると、PDCAはその手段をいかにして獲得するのか、という魚の釣り方を教える段階には至っていないことになります。
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