PDCAがAI時代では「オワコン」な根本理由 いま米国の優良企業が重視する「OODA」とは

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この即興演奏こそが今後の競争優位の新たな源泉であり、それを可能にするのが高速OODAループを組織的に回すということになります。

経営の本質は自転車操業

私は経営の本質とは、自転車操業にあると考えています。ここでいう自転車操業とは、資金繰りに追われた経営ということではありません。そうではなく、自転車はこぎ続けることを止めれば倒れてしまうということです。

ペダルをこぐのはあくまでも自分の足であり、他人に代わってもらうことはできません。このペダルをこぐスピードが速ければ速いほど、ほかの自転車の先頭を切ってリードすることができます。逆に、そのペダルをこぐことができなくなれば、最終的には自転車は倒れざるをえません。

同様に、経営とは自社の力でペダルをこぎ続けることであり、そのペダルに該当するのがOODAループです。

OODAループを最初に聞いたとき、「だから何?」という反応をする人が少なくありません。おそらく、その理由は、個人レベルでは意識せずにOODAループを回していることが少なくないからでしょう。

人間はつねに計画的に動いているわけではありません。日常生活のなかで、漠然とした夢を達成するためにどうすればいいかわからず、試行錯誤を繰り返すという経験をした人は多いでしょう。そこでは暗黙的にOODAループを回しています。

ただし、これを組織的に実行することは非常に難しい。特に、組織の規模が大きくなるにしたがい、その困難さは増していきます。

しかし、AI、IoT、ビッグデータ、ソーシャルメディアの発展という流れのなかで、リアルタイムにデータを収集し、即座に判断して行動に移すこと、これが競争優位を築くためのカギになります。どのような環境変化にも即時対応できる、次世代の最強組織を築くためには、OODAループに着目し、組織として取り組むことが大切です。

原田 勉 神戸大学大学院経営学研究科教授

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はらだ つとむ / Tsutomu Harada

1967年京都府生まれ。スタンフォード大学Ph.D.(経済学博士号)、神戸大学博士(経営学)。神戸大学経営学部助教授、科学技術庁科学技術政策研究所客員研究官、INSEAD客員研究員、ハーバード大学フルブライト研究員を経て、2005年より現職。専攻は、経営戦略、イノベーション経済学、イノベーション・マネジメントなど。大学での研究・教育に加え、企業の研修プログラムの企画なども精力的に行っている。主な著書に、『OODA Management(ウーダ・マネジメント)』(東洋経済新報社)、『イノベーション戦略の論理』(中央公論新社)、『OODALOOP(ウーダ・ループ)』(翻訳、東洋経済新報社)などがある。

 

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