PDCAがAI時代では「オワコン」な根本理由 いま米国の優良企業が重視する「OODA」とは

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現場での迅速な情報収集、即断即決、実行を支えるための組織的な仕組み、仕掛けを整備することは必ずしも容易なことではありません。しかし、このOODAループを高速で回すことができる組織は、直面する不確実性は競合他社よりも低く、より機動的な戦略を実行していくことができます。

アメリカ海兵隊でも、戦地での不確実な状況のなかで少数の精鋭部隊が情報収集活動に当たり、敵の裏をかき、機動作戦を実行します。ここでカギとなるのがOODAループをできるだけ速く回すということです。

湾岸戦争など現代戦の特徴は、迅速な機動作戦によって味方の犠牲を最小限にして敵を制圧していることです。これを可能にしているのが高速OODAループにほかなりません。したがって、高速OODAループと機動戦略は一体不可分の関係にあります。これはビジネスの場合でも成立します。

AI時代に競争優位を築く機動戦略

ビッグデータやその分析手法としてのAI(人工知能)の果たす役割はますます大きくなっていくでしょう。AIは大量なデータから自ら学習して何らかのパターン、特徴を識別することを可能にします。それはある意味では、OODAループをAIが回していると解釈することもできます。

ビッグデータの収集自体はセンサーなどが担当するにしても、情報収集以降は、情勢判断、意思決定はAIが担うことができます。このAIシステムをいかにして日常業務のなかで活用していくのかは、OODAループを組織内に導入することに等しいといえます。

ただし、すべてAIに任せればよいかといえばそうではありません。というのも、AIが適用できる領域は、ビッグデータが存在する領域であり、前例のない状況での決断にはAIはなじまないからです。研究開発活動の大半は人間による活動であり、人間によるOODAループ(一部、AIなどに任せるとしても)を回すことがカギとなります。

したがって、今後の組織に必要なのは、少なくとも非定型的領域においては、AIとともに人間によるOODAループを組織的に高速で回すための仕組みを整えることです。そして、その成果を機動戦略へと実現していくことが求められます。

従来の競争戦略は、差別化、低コストなど、どちらかといえば安定した強みにもとづいたシステムとしての戦略です。機動戦略とは、システムで勝負するのではなく、市場との即興演奏(improvisation)を行っていくことであり、B2Cの企業といえども、ソーシャルメディアの双方向性により、個客対応を低コストで実施することが可能になりつつあります。

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