時間のムダ!上司に出す「日報」の致命的な欠点 社員の「やる気」を引き出せないのが問題だ

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上司に向けて「ごめんなさい」と取りつくろった反省の言葉だけ述べても、何の成長にもつながりませんし、はっきり言って書くほうも読むほうもお互い時間のムダです。成長のための新たな行動(行動変容)へつなげていくには、「自分の行動を深く振り返ること」こそが重要。そうして「本当の課題」を見つけることに生かせてこそ、週報は価値あるものになるのです。

行動を深く振り返り、経験から学ぶためには、Aさんは、例えば次のような自問を行う必要があるでしょう。

「アポ電話をかけられなかった理由はどこにあるのか? 忙しかったことだけが理由なのか?」
「毎月20件の商談という目標達成のために、毎週5件のアポ電話で十分なのか? ほかにもやるべきことはないのか?」
「そもそも、このアポ作業は自分のやるべきことなのか? 外注化すべきでないのか?」

Aさんが週報を書くとき、こうした「本当の課題」を考えた形跡はありません。そのため、Aさん自身が目標達成に対してどう捉え、どう考えているかがわからない状態です。

ダラダラと惰性で行ってしまう

日報・週報の落とし穴は、ここにもあります。つまり、仮に目標達成のための行動が効果的でない場合でも、それを本人が認識しないまま、最初に決めた行動計画をダラダラと惰性で行ってしまうことがあるのです。

『科学的にラクして達成する技術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ただでさえ変化が激しい時代にこのようなやり方をしていると、目標にたどり着かないばかりか、「やらされ感」が出てきてしまいます。また、頑張っているつもりなのに成果が出ないので、「他人や環境が悪い」と他責の気持ちになってしまいがちです。

このように、ほとんどの会社で使われている「管理のための日報や週報」は、使う人の「やる気」を減退させてしまいます。こうした管理目的の日報・週報を改良して、「自分の経験を深く振り返ることができ、前向きになれるもの」に転換させていく必要があるのです。

スペースの関係で詳細は割愛しますが、私がこれまで1万5000人ほどの行動変容のデータを分析した結果、例えば週報の場合、「詳細な事実」「原因の分析」「本音の感情」「次なる行動」という4つの要素を入れて、300~450文字程度の文章にすることで、経験をより深く振り返ることができるようになります。

日報・週報を全否定するつもりはありませんが、せっかく貴重な時間を使って書くのであれば、より主体性の確立や成長につながるほうがいいのは間違いないでしょう。

永谷 研一 行動科学専門家、発明家、株式会社ネットマン代表取締役社長

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ながや けんいち / Kenichi Nagaya

長崎大学講師、情報コミュニケーション学会理事。1966年、静岡県沼津市生まれ。学校や企業にITを活用した教育サービスを提供するパイオニア。校務・学習支援システム「Cラーニング」で全国の教育現場のDX化を推進。行動変容を促進するITシステムを考案・開発し、日米で特許を取得。米国でその功績が高く評価を受け、O-1ビザ(卓越能力保持者ビザ)が認められる。行動科学や認知心理学をベースに、1万5000人の行動変容データを検証・分析し、目標達成メソッド「PDCFAサイクル」を開発。多くの学校や企業の人材育成に採用されている。4人の子の父。著書は『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』『科学的にラクして達成する技術』など。YouTube(永谷研一チャンネル)、note(永谷研一@できたことノート&手帳

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