複合施設「ハレザ」で池袋はどう変わるのか ハイカルチャーとサブカルチャーが混ざる街
吉岡:水戸岡氏のバラエティに富んだデザインは、わくわくします。赤くてかわいいイケバスは、乗ったら降りたくなくなりますね。間違いなく、池袋の新しいシンボルになります。
――現在開催中の「東アジア文化都市」は、池袋にどんな効果をもたらしますか。
近藤:「東アジア文化都市」は、2011(平成23)年、日中韓3カ国の文化大臣会合で合意されました。EU統合を進める過程で、毎年加盟国から一都市を選び、協力してその都市の文化活動を推進する「欧州文化首都」をお手本に、日本からの提案で決まったのです。2014(平成26)年からスタートし、その後すぐ尖閣諸島の問題がありましたが、途切れることなく実施されています。
国というのはどうしても安全保障や経済などの面で「ゆずれない線」があり、排除の論理が生じます。けれども文化と地域は、それらに縛られずに自由に交流ができる。今年も日韓に厳しい情勢がありつつも、続いているのはとても喜ばしいこと。豊島区の取り組みは、女性や高齢者などにやさしいまちづくりや、多様性を打ち出しており、先進的だと思います。文化都市のこれからの新しいモデルになると思いますね。
文化芸術とは、日常生活の中に自然にあるもの
吉岡:海外の文化都市は、大学と密接に結びつき、大学と文化施設とが協働しています。
近藤:区民から、国際アート・カルチャー特命大使を募り、任命した方が1400人もいらっしゃると聞き、大変驚いています。たくさんの人を巻き込む。その仕組みづくりができている点が豊島区の強みです。
正装してコンサートホールに行き、真面目に鑑賞することだけが文化芸術の楽しみ方なのではありません。文化芸術とは、日常生活の中に自然にあるものです。豊島区には日常的に文化芸術を楽しめる仕掛けと、文化芸術を広め、活動を支える人がいる。これは海外から見ても非常に魅力的ですね。楽しいということが一番。池袋は、ディズニーランドならぬ「高野ランド」と呼ぼうと思っています(笑)。