複合施設「ハレザ」で池袋はどう変わるのか ハイカルチャーとサブカルチャーが混ざる街

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近藤誠一・豊島区国際アート・カルチャー都市懇話会会長(以下、近藤):いいえ、それについては真っ向から否定したい(笑)。お話をいただいて、これは面白そうだと思いました。

文化庁長官を六年前に退官したとき、日本は活力を十分発揮していない、力を出すためには「地域」と「文化」が不可欠であると確信したんですね。ところが、地域は疲弊していると言われ、政界や財界、社会全体には、文化はごく限られた人の趣味であり、コストがかかるだけだという考えがいまだに根強くある。

しかし、果たして本当にそうだろうか。都市経済学者のリチャード・フロリダは、これからの時代、都市は文化やクリエイティブ産業によって伸びていく、と主張しています。日本ではそういった視点や取り組みはまだ少ない。地域の特性を生かした新たな文化をつくり、それによってさらに地域が元気になる―そうした循環が豊島区で可能になるのではないかと思いました。高野区長の噂は聞いておりましたから。

高野:あんまりいい噂ではないような(笑)。

文化創造都市が成功するための5つのポイント

近藤:財政赤字を文化で黒字にした手腕をお持ちだと。懇話会が立ち上がって4年で、これほどのプロジェクトが実現するとは、正直、思っていませんでした。

文化創造都市が成功するには5つのポイントがあります。1に首長のリーダーシップ。2に住民のサポート。3が地域の特性を出すこと。4番目が芸術監督の登用です。思い切って採用し、その人の裁量に任せること。5番目はその地域に多様性があることです。

(右から)豊島区国際アート・カルチャー都市懇話会長で前文化庁長官の近藤誠一氏、豊島区長の高野之夫氏、前立教大学総長で東アジア文化都市2019豊島実行委員会全体統括の吉岡知哉氏。パネルは「ハレザ池袋」のイメージ(撮影:渡邉茂樹)

文化に金を使うなんてもったいないという声があっても、それを説得するだけの信念と情熱がトップにあるかどうか。たとえば文化創造都市のお手本としてよく知られているのは、フランスのナント市です。元市長・ジャン=マルク・エローが文化でまちを再生することを強く推し進めました。

エローは市長ののち、2012年には首相になりました。その人がルネ・マルタンという鬼才を芸術監督として任命し、クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」が誕生しました。クラシック音楽の新たな楽しみ方は世界中に広がり、日本でも2005年にスタートし多くの人を動員しています。昨年は池袋でも開催しましたね。

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