複合施設「ハレザ」で池袋はどう変わるのか ハイカルチャーとサブカルチャーが混ざる街

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吉岡:区長のアイデアですごいと思ったのは、まず、トイレをきれいにしようという取り組みです。公園をはじめ、公共施設の利用者の多くは女性ですから、とても大切な視点です。確かにきれいなトイレがあると、我々男性もまちを歩いていて安心しますね。

高野:「ハレザ池袋」の2階、3階に、かなり大きなトイレのスペースを設けました。あんな一等地につくって、何の意味があるのかと叩かれましたが、ただ数をつくるのではなく、パウダールームもつくって、コンシェルジュも置きました。

吉岡:8つの劇場は、幕間の休憩時間をずらして、共通のトイレを使えるようにしているんですよね。

高野:デッキで全部つないで、すぐ使えるようになっています。また一般の方も1階から上がって使えるようにするんです。

誰もが主役になれるまち

近藤:トイレの見学者が多くなりそうですね。

それから、「ハレザ池袋」にはホールのエントランスに向かう階段がありますが、ここがにぎわうとよいですね。

高野:あれは宝塚の大階段をイメージしているんです。

近藤:ああ、なるほど、すごいですね。

ハレザ池袋の中心に位置し、1300席を有する豊島区立芸術文化劇場(写真:豊島区)

高野:これ、うまく考えたでしょう。普通は、エントランスにホワイエがあって、ただ劇場に入っていくだけですよね。でも、この階段は、主人公になった気持ちで入ってもらうことができます。すばらしい作品を見た後は、トップスターになった気持ちで階段を降りられる。余韻が残るわけです。それがまち全体に広がっていったら、素敵なんじゃないでしょうか。ワクワク、ドキドキするでしょう。

――誰もが主役になれるまち。まずは階段で体験することから始まりますね。今日はありがとうございました。

(文・土屋典子)

「東京人」編集部
とうきょうじんへんしゅうぶ / Tokyojin

都市出版が毎月3日に発行する1986年創刊の月刊誌です。「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチフレーズに、歴史・文化・風俗・建築・文学など、都市文化の新たな相貌を照らし出します。

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