複合施設「ハレザ」で池袋はどう変わるのか ハイカルチャーとサブカルチャーが混ざる街
吉岡:豊島区が、この東アジア文化都市への取り組みで見せているのは、紛れもなく、文化芸術都市が生成されていくプロセスだと思います。先ほどの区長のお話にも出ましたが、南池袋公園に行くと、大人も子どもも芝生に寝転んだりして、くつろいでいますよね。「広場」がしっかりと根づいている。多様性と、歴史的な多層性があるからこそ、こうした風景が誕生したのではないかと思っています。
この100年、あるいはもっと以前から、ここで息づいていたさまざまな文化―大学、池袋モンパルナス、闇市、商業施設や劇場……それらが層になって積み重なっており、ここのところの再開発によって、独自の形で外に現れてきた。文化とはこんなふうに活性化するものなのだと実感しています。
高野:映画館も古くからあった資源ですね。「ハレザ池袋」にはシネマコンプレックス(TOHOシネマズ)ができます。新宿に次ぐスクリーン数となり、渋谷を抜くんです。
吉岡:文芸坐や人世坐などのイメージが強く、過去の記憶と結びついて、池袋を映画のまちだという人もいますね。飲み屋文化も生きていますし。歩いて楽しい、立ち止まって楽しい、こういったまちは、今の東京にはなかなかないのではないでしょうか。
2020年、そしてその先の池袋
近藤:いま、何かしらプロジェクトを遂行するときに、念頭に置かなくてはならないのが、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)です。持続可能な世界を実現するための17のゴール、169のターゲットが定められ、「地球上の誰一人として取り残さない」ことを誓っています。
豊島区の取り組みにも、ぜひ、そのシンボル的なものがあるといいかなと思うんです。もちろん、そのひとつが低速の電気バスのイケバスですけれども。東京で最もSDGsに取り組むまちのひとつになるのもいいかもしれない。
高野:消滅可能性都市から、持続可能性都市へと。
近藤:そうです、そうです。