会社業績は楽観できても、人件費構造は悲観的
オリンピック招致が決まり、「アベノミクス4本目の矢」と言われ、経済効果が期待されている。
この状況は前向き、楽観的に捉えたいところだが、企業の人員構成、人件費構造については悲観的な企業は少なくない。
オリンピックが開催されるまでの7年間、景況感が上向きで、給与は増額され、人材の積極採用が行われるとすれば、その間に進行する企業の高齢化に抜本的な手を打たないとその効果が切れる7年後に「大量の人員削減」という結果を招くことになる。
第4回目のコラムで、「人員削減」は人事施策のオプションのひとつになりつつあると書いたが、短期的な業績責任を全うしようとするあまり、いたずらに人材を採用し、今度は余ったので切り捨てるというスタンスでは雇用責任を放棄していると糾弾されても仕方がない。
成果主義人事制度がブームとなり、企業がこぞって人事制度を改定したのは10年以上前になるが、筆者が知る限り、当時社員が恐れていた「成果が上がらない社員の処遇切り下げ」を実施している企業は数少ない。
その後の企業業績の回復と社員の非正規化・外注化で、成果主義の裏目的であった「人件費の変動費化」が達成されてしまったのだ。
どこかの政治家と同じように、(正)社員に人気のない政策は、できれば経営者もやりたくないので、人件費の構造改革は業績回復とともに先送りされる傾向が強い。
実際「人事制度改革」を推進する企業のほとんどは、必要に迫られてからでないと具体的な検討が始まらない。
5年後、10年後確実に到来する人員構造の変化を見据えて制度改革を断行する企業は少数派である。
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