厚生労働省の調査によると、男性の育児休業取得率は過去最高と言われながら、わずか6.16%(「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」)。一方、男性新入社員を対象とした調査では、約7割が育児休業取得を希望しているというデータ(日本生産性本部「新入社員 春の意識調査」2018年度)があり、著しいギャップがあります。
こうした中で、最近聞くことが多くなったパタニティー・ハラスメント(パタハラ)という言葉があります。パタニティー(Paternity)は英語で「父性」を意味し、一般に男性が父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動をいいます。
日本は、従来から「男は外で働き、女は家庭を守る」といった性別役割意識が高く、いまだに男性が育児休業を取得することに否定的な見方をする職場も少なくありません。それが高じて、無意識のうちにパタハラを引き起こしてしまうリスクも内在しています。パタハラを防ぐカギは、どこにあるのでしょうか?
雇用主に新たに義務付けられた防止対策
従来から、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法において、事業主による妊娠・出産、育児休業・介護休業などを理由とする不利益取り扱いを行うことを禁止しています。不利益取り扱いの例は、次のページで紹介しています。
2017年1月からは、さらに1歩踏み込み、上司・同僚からの妊娠・出産、育児休業、介護休業などを理由とするハラスメントを防止する措置を講じることを事業主に義務付けました。
職場における育児休業に関するハラスメントとは、職場において行われる上司・同僚からの言動により、育児休業を申出・取得に関して男女労働者の就業環境が害されることを言います。
育児休業に関する制度や措置を利用したいと上司に相談したことや、制度などを利用したことにより、上司がその社員に対し、解雇その他不利益な取り扱いを示唆することは、防止措置が必要となるハラスメントに当たります。
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