「仕事が忙しく、あまり休みが取れていない」という方、多いのではないでしょうか? 長時間働けば成果が出るというわけではありませんが、「あふれる仕事量をこなすために働かざるをえない」という声も聞こえてきます。
日本人は、まじめで休みを取ることをよしとしないところがあります。先日お会いしたある企業の人事部長は、「うちの社員は、病気のときしか休みは取らない」と言い、“だから勤勉である”という肯定的なニュアンスでお話しされていました。
人手の足りない職場では、「休みを取られるとほかの人へのしわ寄せがきて、むしろ過重労働になる」といった声もあります。
限られたマンパワーでの仕事のやりくりは確かに大変ですが、年次有給休暇は労働者に与えられた権利であり、休みが自由に取れない働き方というのは疑問です。
生産的な職場ほど休みを取り入れている
一方で、生産的な職場ほど、休みを効果的に取り入れているといわれています。ILO(国際労働機関)の報告書によると、「製造業においては、労働時間の長時間化は必ずしも生産性の増加につながらない。そのほかの産業においても、労働時間の短いセクターほど時間当たりの生産性が高いという相関が観察される」という調査結果もあります。
先進的な働き方を導入している企業では、スケジュール管理においても「スラックタイム」を積極的に取り入れているところもあります。スラックとは「ゆとり」「遊び」という意味で、プロジェクトを始動する際にあらかじめ必要な時間を計算し、そこにスラックタイムを加算して時間に余裕を持たせるようなスケジュール管理のことです。
多少の「遊び」を敢えて入れることで、心にゆとりを持たせて、新しいアイデアを生み出すなど、創造的な仕事へつなげようとするものです。また、年次有給休暇をはじめリフレッシュ休暇やボランティア休暇など、社内の休暇制度をうまく活用して休みを取っている方もいます。
よく働くためには、よく休むことが必要――。頭ではわかっていても、なかなか実践できない職場風土が日本ではまだ根強く、政府が肝いりで進めている「働き方改革」においても、長時間労働の是正が重要なテーマの1つとなっています。
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