諸外国と比べても日本の有休取得率の低さは際立っています。旅行サイトのエクスペディア・ジャパン「有給休暇国際比較調査2017」によると、フランス、スペイン、香港などの有給休暇消化率は100%という驚異的な数値を誇る一方で、日本は世界30カ国の中で最低の50%という結果になっています。あくまでも調査対象者(30カ国、約1万5000人)の数値なので、国ごとの平均値とはいえませんが、その差は歴然です。
10月23日に発表された厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」でも、2017年の年次有給休暇の取得率(1人当り平均)は51.1%。1998年(51.8%)以来20年ぶりの高水準でしたが、政労使が目標とする2020年70%にはほど遠いです。
違反企業には罰金も課される
こうした中で、2019年4月より労働基準法が改正され、年次有給休暇のあり方が見直されることになりました。年休はそもそも労働者が自ら申し出なければ取得することができません。
しかし、申し出がしにくい状況を鑑みて、改正後は年間10日以上の年休の権利を持つ労働者に対し、「5日間は労働者ごとに毎年時季を指定して与えなければならない」というルールができ、使用者は労働者に対して年間5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されるのです。違反企業は、30万円以下の罰金に処せられます。
ちなみに、年次有給休暇は業種・業態や正社員・パートタイム労働者などにかかわらず付与されます。一般労働者(フルタイム)の人は、入社から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば10日付与されます。その後、勤続年数に応じて加算されていきます。
法改正は、決して驚くような話ではありません。せめて、「お1人様年5日は年次有給休暇を取らせてあげてください」ということです。使用者は労働者ごとに時季を指定して年休を与なければなりません。時季を定めるにあたっては、できる限り労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならないことが通達にも盛り込まれています。
ただし、社員自らが年5日以上の年次有給休暇を取得している場合や計画的付与によって5日付与されている場合には、追加で5日分を消化させる必要はありません。計画的付与とは、年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数について労使協定を結ぶことで、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。
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