それでは、もう少し具体的にどのような行為や言動がハラスメントや不利益取り扱いになるのか、みていきましょう。前述したように、育児・介護休業法では、育児休業などの申出・取得などを理由とする解雇その他不利益な取り扱いを禁止しています。
例えば、男性社員が育児休業の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら、辞めてもらうしかない」「次の査定では昇進しないと思え」などの言動を受けることは典型例といえます。上司が「男のくせに、育休を取るなんてどういうつもりだ?」と、威圧的な言動で取得を諦めざるをえない状況となった場合は、1回でもハラスメントに該当します。
「子育ては奥さんの仕事」など、個人的な考えを漠然と述べるだけでは当てはまりませんが、育休を利用しようとする社員への直接的な言動で、普通の人であれば育休取得を諦めざるをえないような状況になる言動はハラスメントになりえます。それは、上司ばかりではありません。
職場の同僚が「自分だったら、周りに迷惑がかかるから、とても育休なんて請求できない。君も考え直したほうがいい」など、請求を取り下げるように繰り返し、継続的に働きかけることもハラスメントに該当します。また、会社として育休制度の利用を認めない場合については、そもそも制度などの利用ができることが規定されている法律に違反することになります。
不利益取り扱いの例
不利益取り扱いの具体的な例について解説していきます。
② 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
③ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
④ 退職又は正規雇用労働者をパートタイム労働者等の非正規雇用労働者とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
⑤ 自宅待機を命ずること。
⑥ 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限又は所定労働時間の短縮措置等を適用すること。
⑦ 降格させること。
⑧ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
⑨ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
⑩ 不利益な配置の変更を行うこと。
⑪ 就業環境を害すること。
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