「おっさんずラブ」はなぜここまで人気が出たか

最初は「普通の人気ドラマ」の扱いだった

上半期の動きを振り返った際、テレビ朝日の早河洋会長兼CEO自ら「DVDの予約がテレビ朝日のドラマ史上最高」「最終回の見逃し配信の再生回数が139万回を記録し、全7話累計は633万回」「オフィシャルブックの発行部数は異例の16万5000部」「おっさんずラブ展の前売り券は即完売の大盛況」と報告し、「視聴率4%だから必ずしも成功とは言えないが、配信、DVD、SNS、出版、リアルイベントが好成績」と放送外の実績を評価していました。

その後も会見が開かれるたびに「ビデオパス(auの動画サービス)で大幅に期間を延長して配信している」「シナリオブックの販売も好調」「ドラマ作品としてはオリコン史上初めてとなる 2週連続 DVD&Blu-ray同時トップ10入りを達成」などと好調ぶりが報告されていました。

2019年度はネット広告費がテレビを超える見通しに

『おっさんずラブ』は2018年の新語・流行語大賞トップ10にも選ばれ、「社会的現象になった」とまで言われるようになったわけですが、こうした放送コンテンツのサクセスストーリーに対して、これまでは「結果的に収益に貢献した」「偶然の賜物」として扱われるにすぎなかったことも事実としてあります。

つまり、それは放送の広告収入によって収益化するモデルから、いつまでも離れられないからです。言うなれば、長年にわたって放送の広告収入を主軸に利益を積み上げてきた成功体験から抜け出せない状況が続いています。だから、放送外の展開を含めたコンテンツ開発が遅れたまま。視野を広げて収益化を目指す世界のコンテンツ市場の主流路線から外れたやり方とも言え、日本は展開の発想力があるだけにもったいないと思うことも多いのです。

インターネットの広告費が、地上波の広告費を抜く勢いである事実に直面している今、意識は変わりつつあります。電通集計の「日本の広告費」によると、地上波の広告費は2017年前年比で2018年は98.2%と減少傾向にありますが、インターネットの広告費は同116.5%で伸びています。2019年度はテレビを超える見通しです。

先般発表された日本テレビ、テレビ東京の中期経営計画ではこうした状況から「放送外収入」に、より注力した戦略が打ち立てられています。テレビ朝日も『おっさんずラブ』を成功例に挙げながら、インターネット配信を含めて、コンテンツをマルチに展開していくことによってメディア価値を高め、収益化を構築する「360度コンテンツ展開」を加速させていくことを宣言していました。

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