「おっさんずラブ」はなぜここまで人気が出たか 最初は「普通の人気ドラマ」の扱いだった

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5月14日に開催されたテレビ朝日のIR説明会ではインターネット関連収入が右肩上がりで成長していることも報告されました。2018年度は117億円に達しています。ニーズが高まりつつある見逃し配信をしっかりと収益化し、伸ばす余地はあると判断したことから、同日、国内放送局では初となるデジタル広告配信プラットフォームの新会社を設立することも発表しました。

劇場版は禁断のラブ・バトルロワイアルが勃発!?

KDDIの連結子会社であるSupership(スーパーシップ)と、サイバーエージェント、電通ならびに博報堂DYメディアパートナーズと共同でデジタル動画広告配信プラットフォームを構築・運用する合弁会社を立ち上げ、合弁会社はテレビ朝日の連結子会社となります。

テレビ朝日早河会長兼CEOは新会社設立の背景について「今年度、いよいよテレビ広告がインターネット広告に抜かれるだろう。このインターネット広告市場を取り込むためにはプラットフォームが必要。3年で黒字化を目指し、4年目で累損を解消する」と説明していました。

加えて「大きな花を咲かせるだろうと、夢を持って設立した会社になる」と意気込み十分です。AbemaTVやテレ朝動画、TVer、GYAO!の一部広告枠からスタートし、段階を踏みながらほかのデジタルメディアなどにもプラットフォームの利用を呼びかけていく計画です。

おっさん同士のピュアな恋愛劇を描いた(写真:©テレビ朝日)

そんなビジネス構築話が実はドラマ『おっさんずラブ』の裏にあるわけです。劇場版でもはるたん(田中圭)と牧(林遣都)、乙女な部長(吉田鋼太郎)の「ラブが、とまらない」様子が描かれるようで、先日公開されたメインビジュアルには沢村一樹と志尊淳も加わり、「禁断のラブ・バトルロワイアル」が勃発する気配です。

劇場版後には第2シーズンの放送も予定しており、ロングランでまだまだ楽しませてもらえそうです。「まだまだおっさん同士のラブが見たい」というシンプルな欲求に、放送や配信などマルチプラットフォーム展開で隈なくタイミングよく応えているコンテンツだからこそ、好感が持たれているのだと思います。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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