しかも、オトク度を過激にアピールすることもできなくなる。
「お得」「コスパ最強」「ドカ盛り」「圧倒的なボリューム」……なんてキャッチコピーは問題ありとされ、ちゃんと守らないと、これまた翌年の申請時に問題視されるらしい 。
節税面と返礼品とにオトクさを感じていた人は、その期待はややダウンしそうだ。確かに、返礼品アピールばかりが目立った平成のふるさと納税はやりすぎだったかもしれない。ネットショッピング感覚で自治体を選んできたわれわれの側にも、むろん反省すべき点はあるだろう。
しかし、政府を怒らせるとずいぶんイケズなことされるんだなと感じた制度改正ではある。
鳴り物入りのポイント還元策にも注意
そして、令和元年最大の懸念といえば消費増税だ。その対策として打ち出されている、いわゆるキャッシュレスでのポイント還元策だが、これについても注意すべき点がある。
ポイント還元事業については「中小店舗が5%」などといわれているが 、この中小・小規模事業者の範囲は小売業の場合で資本金が5000万円以下、従業員数が50人以下などと定義されている。
ただし、これに当てはまれば即OK、というわけではない。この事業に参加したいという小売店や企業は、事前に手を挙げ登録することが必要なのだ。それも、自分たちが導入している(または導入する予定の)キャッシュレス決済事業者を通じての代行申請となる。
しかも、そのキャッシュレス事業者自体も、このポイント還元の取り組みに参加している業者でなければならない。決済事業者も、消費者が実際に利用する店舗や企業側も、事前に登録する必要があるわけだ。消費者は、単に小ぢんまりした小規模の店でカードで買い物すれば、それだけでポイント還元されるというわけではないのである。
決済事業者の登録はすでにスタートしているので、経産省のスケジュールによれば5月以降に中小店舗の登録が開始され、私たちがどこが対象の店なのかを知れるのは7月以降になりそうだ(対象となる店舗にはポスター掲示などが行われる予定だ)。
また、ポイント還元の方法も決済事業者ごとに異なる可能性がある。従来のように支払金額に応じたポイント付与のほかにも、支払いの時点でポイント分をその場で値引きする、代金を銀行口座から引き落としする際にポイント分を差し引くなどのパターンがあるからだ。消費者も単純な5%還元だけと思っていると戸惑うことになりそうだ。
さらにいえば、こんな危惧もある。今回の還元策は2019年10月1日~2020年6月30日までとされているが、この事業の予算額は約2800億円を計上している。この原資で十分かという点だ。
記憶に新しいところでは、昨年12月に行われたPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」は10日間で還元額が上限に達し、終了してしまった。その28倍となれば約9カ月との計算となり還元予定期間ぎりぎり持ちそうだが、さてどうだろうか。PayPayはあくまで民間企業だから予算はお好きに決めていただいていいのだが、今回使われるのは税金である。むやみに追加で予算投入というのもいかがなものかという気もする。
この事業のポイント還元は、家や車の購入は対象外、換金性の高い切手やプリペイドカード、宝くじなども対象にならないが、それでもあれやこれやと悪いことを考える輩はいそうである。もし、このポイント還元策の恩恵にあずかりたいなら、事前の準備と早めのお買い物が安心かもしれない。
むろん、われわれにとっては消費税が上がらないのが一番だ。令和のお祝い景気が続くためにも、ぎりぎりまで諦めないでいたいのが本音である。
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