「言い訳」が必要な買い物とは何か?
「自分へのご褒美」が好きな人ほど貯まらない、ということを筆者はこれまでも述べてきた。そもそも「ご褒美」とは人からもらうものであって、自分で買うのはただの消費、しかもぜいたくなモノを買うための言い訳に過ぎないというのがその理由だ。
そもそも「言い訳」が必要な買い物とは何だろう。たぶん、生活になくてはならないものではないはずだ。もちろん日々に潤いは必要だが、潤いも過ぎると生活必需品の予算を食ってしまう。ご褒美は記念日などに、胸を張って堂々と人からもらうべきだろう。
とはいえ、一方的に人からもらうばかりではよろしくない。自分にかけるおカネは節約してもいいが、人にかけるおカネはむやみに削るべきではないと思う。やりすぎると、“人という貯金”を失うことになるからだ。特に男性の場合、好きなタイプはドケチな人です、と言ってくれる女性はめったにいない。交際費こそ節約脳の見せどころと心得、愛される隠れケチを目指してはどうだろうか。
筆者は昔、予算1000円程度でプレゼントを持ち寄るというカジュアルなパーティに参加したことがある。参加者は30人以上いただろうか、それぞれのセレクトに30人30色の個性が見えて興味深いものだった。
小物やスイーツが多い中に、「自分がとても好きなので、ぜひ」と言いながら1冊の本をプレゼントとして用意した女性がいた。それで思い出したのだが、筆者も誕生日プレゼントとして文庫本をもらったことがある。大学時代のボーイフレンドが、「ごめん、おカネがなくて……」と言いながら渡してくれたのだ。相手にときめくより先に、「なるほど! この文庫本は定価500円(いや300円だったかもしれない)と激安だけど、500円以上の価値をにじませることができる小ワザじゃないか!」といたく感心したものだ。
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