昇格した途端「偉そう」に振る舞う上司の心理

「意識高い系」の上司と部下の溝が深まる理由

あなたの会社のリーダーはどういう人でしょうか(写真:East & West/PIXTA)
アメリカのビジネス誌『Inc.』が600社の幹部を対象に「会社の優先事項上位3件を知っている社員は、全体の何%だと思うか?」という調査を行ったところ、幹部たちの答えの平均値は「64%」だったそうです。しかし、実際に優先事項を把握していた社員はわずか「2%」。
そんな乖離を埋めるべく、リーダーは「リーダーシップを発揮してチームメンバーをまとめ、引っ張っていくべき」なのでしょうか? スタンフォード大学の心理学者としてリーダーシップ論の授業を受け持ち、『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』を上梓したスティーヴン・マーフィ重松氏は、高い向上心がかえって部下との溝を深めかねないと指摘します。

組織には「ヒエラルキー」があります。例えば会社には社長がいて、役員がいて、部長がいて課長がいます。しかし、個人の発信力が高まったいま、「リーダー+フォロワー」という構造が弱まっているのも事実です。

人が寄り集まってできる「チーム」には、さまざまな心理作用が働いています。そんななか、上司がよかれと思って目標達成に向けて部下を鼓舞したり、新たなチャレンジを促したりすると、部下たちの間で火種がくすぶり、不満が蔓延する事態にもなりかねません。

「現状打破」したくないのが本音

人が集まって形成される集団には、「現状維持バイアス」と呼ばれる心理作用が働きます。

これは、ボストン大学のウィリアム・サミュエルソン氏とハーバード大学のリチャード・ゼックハウザー氏が1988年に提唱したもので、心理学・経済学的観点から「人は新しい選択肢を回避する傾向がある」性質を指した言葉です。

新たな選択肢と出くわすことで失敗を恐れる心理が敏感に働き、より一層現状維持バイアスが強まります。この循環で、変化を拒む体質が根付いていきます。

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