「夢に向かって頑張る」が科学的にアウトな理由 UCLA医学部教授が教える「意志力不要」の技術

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今日ジムでトレーニングをしている自分より、結婚式に参列している5キロやせた自分を想像するほうが、気分が高まるはずだ。今日ジムに行っても見違えるほどスリムになるわけではない。それよりも、結婚式場にスッキリした体型で登場し、驚いた知人たちが口をあんぐりと開けている様子を想像するほうが興奮する。

だからこそ、人は「100ポンドやせる方法」「100万ドル稼ぐ方法」「100万回ダウンロードを達成する方法」をうたう書籍やセミナーが好きなのだ。大きな夢を描くことは楽しい。実際、夢には人を行動に向かわせる力がある。

だが、遠い将来の大きな夢のことばかりを考えていると逆効果が生じる。夢を実現できそうな未来があまりにも遠くにあるので、気持ちがくじけ、実現する前に途中で諦めてしまうのだ。

大きな夢の実現に情熱を抱きつつ、小さなステップを現実的に計画するにはどうすればよいのだろう? その答えは、「夢」「目標」「ステップ」の違いと、それが心に及ぼす影響を理解することにある。まずは、“小さい”という概念に注目してみるところから始めよう。

どれくらい小さければ、“小さい”のか

私たちは、「自分は小さなステップで目標を目指している」と考えている。だが、実際にはそのステップは十分に小さくはないことが多い。“小さい”という概念は主観的なものだ。身の回りにいる5人に、ある物事を達成するために必要なステップをすべて挙げてもらえば、それぞれのステップの大きさは異なっているはずだ。

目標達成のためのステップを計画したが、それが十分に小さくないというケースは多い。そこで私は、誰でも簡単にステップを十分に小さくできる、「はしごモデル」を開発した。これは「ステップ」「目標」「夢」の3つの要素から成っている。

ステップの大きさは、夢と目標のどちらを意識しているかによって変わる。夢は目標よりも大きく、一般的には達成に3カ月以上かかる、初挑戦のものが対象になる。

例えば、アプリ開発者にとっての念願である100万回ダウンロードだ。夢を持ち、折に触れて思い出すのは意欲を保つために重要だ。だが、夢ばかり考えていると、逆に達成を諦めやすくなってしまう。何かを達成したければ、夢ではなく目標に集中すべきなのだ。

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