グリコ社員がヨーグルトに注いだ熱すぎる情熱 好きを仕事にする「菌オタク」キャリアと日常

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ビフィズス菌BifiXの発見からヨーグルトのマーケティングまでを手掛けた、江崎グリコに務める”菌オタク”の仕事とは?(撮影:尾形文繁)
「新卒ガチャ」という言葉をご存じだろうか。新卒入社後どこに配属されるかが運次第であることを揶揄(やゆ)した表現だ。この連載では「御社のオタクを紹介してください」と企業を訪ねている。大概において、好きなことを仕事にしている人は、配属を運に任せることなく、きちんと「これをやりたい」と主張している。
今回インタビューしたのは、江崎グリコに勤める“菌オタク”の齋藤康雄さん。入社後、過去同社にはなかった菌の研究部門を新設させ、ビフィズス菌BifiXを発見。商品化を行い、現在はBifiXヨーグルトのマーケティングを担当している。さらに、知識を生かして、社員の腸内環境を向上する取り組みまで手掛けているという。彼の「菌への愛」を追った。

社員の腸内環境検査結果から食生活のアドバイスを行う

――乳酸菌やビフィズス菌というと腸に効くイメージがあります。そういった知識を生かして、社員の腸内環境を整えていると聞きましたが、どんな取り組みでしょうか?

社内の関心がある人に腸内検査キットを配布しています。検便のように採取して検査機関に送るとリポートが返ってきます。このリポートがちょっとわかりにくいので、希望する人にはコメントを返しています。

――どんなリポートなんですか?

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社外の協力会社と一緒にやっているのですが、あなたの腸内年齢は何歳ですよ、いい菌が何%くらいで、悪い菌が何%くらいということがわかるリポートです。

ただ実はオリジナルのデータを見ると、もっといろんなことがわかります。

――オリジナルのデータとは……(一例を見せてもらいました)見慣れないアルファベットの羅列ですね。これが、どの菌がどれだけ腸内にいるかという情報なんですね。

例えば、この人はビフィドバクテリウム・アドレセンティスというビフィズス菌が18.7%です。ビフィズス菌がいちばん多いので、そんなに悪くはないのですが、アドレセンティスというのはアダルトという意味あいで、大人の腸内によくいるビフィズス菌です。ビフィズス菌はわりと多めだけど、ちょっと腸内環境は大人っぽく、加齢していることがわかります。

――腸が加齢しているなんて、聞きたくない言葉です。腸に年齢が現れるんですね。

若い人の場合、ビフィズス菌が耐えられているというか、食生活は悪くても、腸内フローラがきれいに整っています。けれども年を取ると、あらわになるんですよ。年を取っていても、精製されていない食品を食べていたり、乳製品をたくさんとっていたりしていると、子どもが持っているビフィズス菌を多く持っていることもあります。

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