「自分たちが知らないだけで、きちんとガイドラインはあるものだね」と改めて感心はしたものの、微妙にモヤモヤが残る2人。清水寺も納得しきれないけれど、たとえば「富士山(ふじさん)」だって、先ほどのルールに当てはめたらMount Fujisanとなるべきではないでしょうか。「ふじさん」というのは「あらかわ」と同じように切り離してはいけない名前の気がします。英語でMount Fujiと聞き慣れているので、Mount Fujisanとは言わないですけれど、なんだかすっきりしないですよね。例外があるなら、例外リストもほしい!
外国人にわかりやすい地図表現検討会の報告書
どこかに答えがないかと、ネット検索を続けていると、別のすばらしい資料に遭遇しました。国土交通省の国土地理院が設置した「外国人にわかりやすい地図表現検討会」という委員会が、報告書をまとめてくれていたのです。その報告書の英語表記ルールの基本的な考え方は、
・外国人が日本人に問いかけて発音した場合に日本人に通じやすいこと
だそう。これは筆者も同感です。外国人にも日本人にもわかりやすいというのが大切ですよね。これを読んで、「個人の違和感なんてどうでもいい話で、やっぱり伝わることが最優先だよね」と反省する筆者。
さらに、報告書には筆者とジョンがああだこうだと話していた表記の方式が、きちんと整理されて書かれていました。
そのうえで、「追加方式、置き換え方式のどちらか一方のみに画一的に決めることは適当ではない。根拠のある例外は認めつつ、できるだけ単純なルールを示す必要がある」としています。
「すばらしい! ほら、やっぱり清水寺は置き換え方式でKiyomizu Temple、東大寺は追加方式でTodaiji Templeとするのがいいんだよ!」と腑に落ちた筆者とジョンでした。
さらに読み進めていくと、詳しくさまざまなケースについて説明があり、例外も含めたうえで、どの場合には追加方式で、どの場合には置き換え方式がふさわしいのかを表とフローチャートにまとめてありました。
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