1対1でじっくりと行われるコミュニケーションが好き
楠木:江幡さんは、ツイッターやラインはやってらっしゃるんですか。
江幡:やっています。ITビジネスをしている人間として、という意味合いが強いですが。やってはいますが、何を食べたとか、誰と会ったとか、個人のプライベートなことは書きません。プライベートを不特定多数の人に向けて発信する、というのはあまり好きではないのです。
楠木:わりとITビジネスをやっている人は、自分のプライベートをさらけ出すことが好きな人が多いような気がしますが、その点も違いますね。ITの人に限りませんが、セレブリティを目指しているような人は、プライベートをさらけ出すことで自分に対するアテンションを上げるというか、さらけ出すこと自体が快感になっている人が多いじゃないですか(笑)。
江幡:私の場合は、自分の弱い部分を出すのが嫌いというのもあります。ですが、1対1など、特定の人とコミュニケーションをする場合は、その限りではありません。少数の人と、じっくり話すことは好きです。そういうときは、オープンになって、プライベートのこともどんどん話しますよ。
楠木:社員とのコミュニケーションはどうですか。じっくりとするタイプですか。
江幡:そうだと思います。社員とのコミュニケーションでも、どちらかというと、ベタベタした感じのほうが好きです。
楠木:そういえば、オールアバウトは、正社員の方々がほとんどなんですよね。派遣社員とか、アルバイトの人があまりいないという。
江幡:基本は正社員です。ほんの一部の契約社員であるプログラマーの人を除けば。
楠木:それは創業当初からでしょうか。
江幡:そうです。
楠木:基本が正社員というのも、いわゆるほかのネットベンチャー企業とは違う部分といえますね。経営の中で、嫌いな仕事とかはありますか。
江幡:そうですね……。人事や査定といった部分でしょうか。
楠木:人事や査定が好きな経営者っているんですか。
江幡:けっこういると思いますよ。自分はあまり好きではありませんね。人事評価とか査定なんて、なくてもいいんじゃないかな、って思っているくらいですから。しかし、マネジメントにおいては、信賞必罰といったようなメリハリは必要だとは思っていますが。
楠木:ほかにはありませんか。
江幡:社内のことでいえば、人間関係がゴタゴタするのはイヤですね。たとえば、仕事上で何か失敗が生じると、それにかかわった人の人間関係がこじれたりするじゃないですか。裏で誰かの悪口を言ったり、というような。それがいちばん嫌いです。ビジネスですから失敗はつきもので、それ自体には動じないのですが、それによって起きる人間関係のゴタゴタはイヤです。
(撮影:風間仁一郎)
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