イケメンIT社長が、どうしても嫌いなもの オールアバウト、江幡哲也社長の好き嫌い(上)

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オールアバウトは情報を提供するソーシャルメディア

江幡:オールアバウトの構想は、私の中にはかなり早くからあったのです。1996年くらいには思いついていました。しかし、そのアイデアを実現するには、当時のテクノロジーが追いついていなかった。オールアバウトのようなソーシャルメディアを立ち上げるには、ブロードバンド回線が必要でしたし、検索エンジンがもっと進化する必要がありました。当時は、グーグルもまだありませんでしたしね。

楠木:なるほど。江幡さんは、そうした環境が整うのを待っていたと。

江幡:そうです。事業化というのは、そうした順番を考えることが、実は大事なのです。どんな状況になったら、ビジネスとして成立するのかという「見立て」が大事です。

楠木:でも、グーグルが出てから、アイデアを考えるのでは遅くなってしまうと。

江幡:そう、遅いのです。構想として持っておいて、待つことが重要になります。

楠木:そして、オールアバウトが立ち上がって事業化されますが、今度は、ネットがコモディティ化することによって、別の状況が生まれてきた。ネットは、情報を出すコストが既存のメディアに比べて非常に割安です。そのため、たとえば、誰でも自分がランチに食べた写真をネット上にアップして紹介することができる。その結果、世の中の情報量は非常に増えましたが、情報の受け手である、個人のアテンション(関心)がどんどん低くなってしまいました。ツイッターやラインなんかを見ていると、ソーシャルメディアが無駄なことばかりに使われている気がするのです。専門家と一般の人の間に存在する、情報の非対称性は解消されず、温存されたままです。

江幡:そこはまさに、創業時からオールアバウトが狙っている部分で、あくまで、情報の非対称性をなくすことにこだわっています。

楠木:ここにきて、オールアバウトとほかのメディアとの違いが、いよいよはっきりしてきた。ネットビジネスの本筋を突いていたなと、最近、つくづく思うわけです。

江幡:ただ、ツイッターにしてもラインにしても、重要な部分を担っていると思います。たとえば、楠木先生の一挙手一投足を知りたいという人もいるでしょう(笑)。

楠木:そんな人はいないですよ(笑)。

江幡:います、います(笑)。そういうファン心理を持つ人には、重要なソーシャルメディアですよ。ラインの場合は、自分が書いたメッセージが既読になっているのか、未読になっているのかがとても重要で、そういう意味では、コミュニケーションが行われているプラットフォームだと思います。メッセージをやり取りする、コミュニケーション自体に価値があるわけです。オールアバウトは、コミュニケーションの要素も入っていますが、基本的には情報です。ノウハウだったり、これまでの事例だったり、さまざまな選択肢だったりという、情報を提供しているソーシャルメディアです。

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