上から目線の人と、体育会的なノリが嫌い ユナイテッドアローズ 重松会長の好き嫌い(下)

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 本格的な評伝や自身による回想録を別にすれば、経営者の好き嫌いは外部からはなかなかわからない。その人の「好き嫌い」に焦点を絞って経営者の方々と話をしてみようというのがこの対談の趣旨である。この企画の背後にある期待は3つある。
 第1に、「好きこそ物の上手なれ」。優れた経営者やリーダーは、何ゆえ成果を出している   の か。いろいろな理由があるだろうが、その中核には「自分が 好きなことをやっている」もしくは「自分が好きなやり方でやっている」ということがあるはずだ。これが、多くの経営者を観察してきた僕の私見である。
 第2に、戦略における直観の重要性である。優れた経営者を見ていると、重要な戦略的意思決定ほど理屈では割り切れない直観に根差していることが実に多い。直観は「センス」といってもよい。ある人にはあるが、ない人にはまるでない。 
 第3に、これは僕の個人的な考えなのだが、好き嫌いについて人の話を聞くのは単純に面白いということがある。人と話して面白いということは、多くの場合、その人の好き嫌いとかかわっているものだ。 
 こうした好き嫌いの対話を通じて、優れた経営者が戦略や経営を考えるときに避けて通れない直観とその源泉に迫ってみたい。対談の第4回は、セレクトショップのユナイテッドアローズを運営する重松理社長にお話を伺った。

※ 対談(上)はこちら:セレクトショップは好き嫌いで経営できる?

海辺でビールを飲むのが好き

楠木:今、洋服で欲しいものはありますか。

重松:それが、特にこれというのはないです。当然、洋服は好きですし、買い物も大好きなんですけど、欲しいものといわれると……。買いたいものに出会うのが難しいというか。なんていうか、長く洋服をやりすぎたのかもしれません。

楠木:プロフィールを拝見すると、好きなものとして「海」が書かれています。

重松:海は大好きです。育った場所が逗子で海の近くですから。

楠木:海ではどんなことをなさるんですか。何かスポーツをするのですか。サーフィンとか。

重松:スポーツとか、泳いだりすることはないですね。何人かでビールを飲んで、夕陽を見るとか(笑)。

楠木:いいですね(笑)。安心しました。インドア派の私としては大いに共感できます。

重松:ハワイでも、バリ島でも、ドバイでも、どこに行っても同じことをしています。ビールかシャンパンを飲んでいますね。

楠木:何か運動はされているのですか。

重松:運動はしていません。スポーツジムには通っていますが、体調を整えることが目的です。好きで行っているわけではないですね。

楠木:ゴルフもされないんですよね。

重松:はい。

楠木:では、文化系の趣味はどうでしょう。映画とか音楽とか。

重松:映画も最近は見てないんですよ。音楽はラウンジ系を聞きます。それは、浜辺でビールやシャンパンを飲むときのBGMです。マイブームというのも全然ないですし。

楠木:本、読書はどうですか。

重松:以前、経済書はたくさん読みました。「創造的破壊」で有名なシュンペーターとか。でも、ドラッカーを読んでからはほかの本を読まなくなりました。というのは、経営に関しては、ドラッカーに尽きると思っているので。ドラッカー以上のものはないんじゃないでしょうか。

楠木:ドラッカーは超本質ですよね。ドラッカーだけで、ごはん10杯いけます(笑)。

重松:そうした真実というか真理が書いてある本、それはあくまで自分がそう思っているわけですが、そういう本を中心に読んできたので、小説というかフィクションに興味がなくなってしまった、と言えるかもしれません。ですので、自然と映画も観なくなった気がします。

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