いちばん好きなことからいちばん最初にする
楠木:重松さんは、基本的には楽観的なタイプですか。
重松:楽観的だと思います。今日、楠木さんと話をしてわかったことは、そもそも、私はあまり嫌いなこととか、苦手なことが少ない気がします。しかも、嫌なことの記憶はほとんど忘れているし(笑)。
楠木:かなりの楽観派かもしれません(笑)。
重松:仕事に関して付け加えると、本当に幸運だったと思います。ほかの人からも、運がよかったねとよく言われるのですが、本人がいちばん自覚している(笑)。自分の運のよさを確信していると言っていいでしょう。だから、ほかの人より努力してきたとは思っていません。
楠木:ご自身ではそうお考えだということが、ふだん重松さんの言動を拝見しているとよくわかります。
重松:ただし、経営者としては、運のよさを全面に出すのはよくないです。失敗する可能性が高くなりますから。ある程度の準備はやっておかないと。実は、昔からセレクトショップって、誰でもできると思っていたのです。ちょっとした違い、商品の良しあしの違いがわかるだけで成立するんですから。それなのに、なぜみんなやらないのかと不思議に感じていたのですが、そのちょっとした違いがわかる人って、思いのほか少ないということに数年前に気がつきました。
楠木:数年前ですか(笑)。私も昔、もう嫌いなことはしないようにしようと、決めたことがありました。嫌いなことをすると、自分は何が好きなのかが、わからなくなると思ったのです。でも、そうして嫌いなことをしないようにしていたら、やることがなくなって、引きこもりになってしまった。ここが重松さんと大きく違うところです(笑)。
重松:よく、いちばん好きなものは残しておけ、とかいちばん好きなことは仕事にすべきではないとか言うけれど、全然そうは思いませんね。自分はいちばん好きなことからいちばん最初にするタイプです。
(構成:松岡賢治、撮影:今井康一)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら