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「今の子は未熟」と歎く大人に欠けている視点 「手がかかる」のは本当に悪いことなのか?

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あるいは、最近は「美魔女」という言葉もあります。人生50年の時代だったら老婆と呼ばれていたであろう年代の人たちも、皆さんとても美しいです。美魔女コンテストというものもあって、60代の人がファイナリストになったそうです。私の身の回りにいるごく普通の女性たちも、みんな若くて元気で美しいです。

男性も同じです。次の歌詞は、1941年(昭和16年)に発表された「船頭さん」という童謡です。

村の渡しの船頭さんは
今年六十のお爺さん
年は取つてもお船を漕ぐときは
元気いつぱい艪がしなる
それ ぎつちら ぎつちら ぎつちらこ

「今年六十のお爺さん」ですから、当時は60歳といえばお爺さんだったのです。私も今60歳ですが、自分のことをお爺さんとは思っていません。これからもプライベートや仕事でますます楽しくやっていきたいと思っています。同世代でそう思っている人はたくさんいるはずです。そして、それはよいことなのです。

一概に昔の人はしっかりしていたとはいえない

次のように言う人もいます。「昔は15才で元服して大人だった。昔の人はしっかりしていた。それに比べて今の若者は……」。でも、私はこれにも賛成できません。確かに中世の武家では15歳で元服でした。でも、その頃は今より単純な社会で、武士の子は武士になり、百姓の子は百姓になり、商人の子は商人になるのが当たり前でした。「拙者は父上のような立派な武士になります」と言っていればいいわけで、何の迷いもありません。誰でも仕事に就けて大人になれたのです。

ところが、現代では自分が何になるべきか大いに迷います。複雑な社会の中で非常に多くの選択肢があるからです。さらには、競争も厳しく思うようにはいきません。社会のあり方が違いすぎるのですから、一概に昔の人はしっかりしていたとはいえないのです。

NHKスペシャル「寿命はどこまで延びるのか」(2015年1月4日放送)によると、これから30年後の2045年ごろには、平均寿命が100才になるそうです。そのときは、2018年ごろを振り返りながら、「30年前の若者はもっとしっかりしていた」と言っていることでしょう。

このようなわけで、今の子どもや若者が幼稚化していて手がかかるといって嘆く必要はありません。それは、過去の記事(「フルゆとり世代」の言葉に感じる嫌な傾向)でも書いたように、結局若者を批判することにつながるだけです。

一部だけ見て嘆くのではなく、ことの全体を見れば喜ばしいことも多いのです。ですから、嘆いて批判ばかりするのではなく、子どもや若者に温かい言葉をかけ、手をかけ愛情を注いであげましょう。それぞれの資質や発達段階に個別対応して、一人ひとりを本当に大切に育てていきましょう。人類の進化、文明の発達とはそういったことができるようになることだと思います。

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