「誕生日アピール」する子どもの切ない心理

大人は「条件つき肯定」ばかりしていないか

子どもの誕生日には、ぜひ言ってあげてほしい言葉がある(写真:8x10 / PIXTA)

私が小学校の教師をしていたときのことです。ある日の朝、森君(仮名)という男の子が私のところに来て、「先生、今日はぼくの誕生日」と言いました。森君はにこにこと満面の笑みでとってもうれしそうでした。

私は「おめでとう! 今日はいい日だ。うれしいねえ。森君が生まれてくれてよかったよ。だって、今日こうやって森君と楽しくおしゃべりできるのは、森君が生まれてくれたからだもの」と言いました。森君はますますうれしそうでした。

自分の存在を”無条件”に肯定してもらえる特別な日

森君のように、「今日、誕生日」と言ってくる子はけっこういます。子どもは誕生日が大好きなのです。では、なぜ子どもは誕生日が大好きなのでしょうか? それは、自分の存在を”無条件”に肯定してもらえる日、自分の存在そのものを褒めてもらえる日だからです。こういう日はほかにはないのです。

この連載の記事一覧はこちら

ほとんどの子は、日頃、褒められることよりも叱られることのほうが多いです。子どもによっては、家で叱られ学校で叱られ、塾や習い事でも叱られるというように、毎日叱られっぱなしの子もいます。

たまに褒められるとしても、”条件つき”です。つまり、進んで勉強したとき、お手伝いを頑張ったとき、脱いだ服を畳めたときなど、いろいろな条件をクリアしたときです。もちろん、このようなときに褒めるのは大事ですが、実はこのような条件つきの褒め方だけでは不十分なのです。

それに関して、山下さん(仮名)という二十代後半の女性が興味深いことを話してくれました。彼女は6歳の頃にふと疑問に感じたことがあって、今でもそれを覚えているそうです。彼女は何でもよく頑張る子で親に褒められることも多かったのですが、ある日お手伝いで窓拭きをして褒められたときに、「もしかしたら、私は頑張らないと褒められないのかな? 頑張らないでいると嫌われるのかな? そうならないように、頑張らなきゃ」と思ったそうです。そして、必要以上に頑張りすぎたりしたこともあって、そういうときはやはり疲れたそうです。

次ページ条件つきでない無条件の肯定が大切
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 見過ごされる若者の貧困
  • 新型コロナ、「新しい日常」への前進
  • iPhoneの裏技
  • CSR企業総覧
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
日米の躍進銘柄を総まくり<br>発掘! 未来の成長企業

米国の株式相場上昇に目を奪われがちですが、日本でも未来を牽引する成長企業は確実に育っています。本特集では「新興成長企業」や「トップの通信簿」などのランキングを掲載。GAFAMやメルカリの次の新主役を探しましょう。

東洋経済education×ICT