発売前「ネット全文公開」した本が売れたワケ 「すごい」と言われる企業ほど逆説的だ

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ただ、貧困家庭などの支援を行うNPO(民間の非営利組織)のサポートもしていたんですが、助成金や寄付に頼るNPOがすごく多く、経営的に安定しない。このため、いくらクリエーティブで何か面白いことをやろうとしても、そもそもおカネがないのでいかんともしがたい。そこですごい無力感を覚えたわけです。

本当の意味で課題解決をするためには、単純に格好いいクリエーティブを作るだけではどうにもならない。いくらいいことをやっても、経済合理性がないと続かない。それまではビジネスというものに対して苦手意識もあったし、それこそ儲けの仕組みや稼ぐということに嫌悪感みたいなものを……。

ビジネスパーソンとクリエーター、両方が読む本に

──金儲けとはちょっと距離を置いておきたいと?

ビジネスモデル2.0図鑑
『ビジネスモデル2.0図鑑』(近藤哲朗 著/KADOKAWA/2600円+税/265ページ)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

何かおカネじゃないよね、という感じでいたんですけど、やっぱりおカネって大事だなと。

だからこそ、この本がビジネス、ソーシャル、クリエーティブという3つの分断された領域をつなぐ共通言語になるといいなと思っています。このくらいの簡単な図であれば、いわゆるクリエーターも何か面白いなと思って見られる。

ただ、これ以上難しくするとクリエーターがついてこられなくなるし、これ以上簡単にするとビジネスパーソンがこれはお遊びだ、みたいな感じで読んでくれない。

これまでビジネス書をまったく読んだことがなかったような、デザイナーやエンジニアの方々に読んでもらえるといいなと思ったんですよね。ツイッターを見ていると、そういう人たちも結構、読んでくれているみたいで……。

──ビジネスパーソンとクリエーター、両者が読めるぎりぎりの線って、なかなか難しいですよね。

そう、難しい。ほんと難しいですね。ビジネスをバリバリにやっている人は、もっと深い内容を知りたいと思うでしょうし。でも、そこまで専門性が高い人はこの本のターゲットじゃないというか、それはほかの分厚い専門書を読んでもらえればいいかな(笑)。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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