あえて「逆説」にこだわった
──これまでも興味、関心を呼ぶために書籍の一部を公開する試みはありました。ですが全文、それも発売前に公開、とは聞いたことがありません。
「逆説の構造」、これは僕の造語なんですが、そのビジネスの中に、今の業界を覆す要素を持っているかどうかが重要だと思っています。「普通はこうだよね」という「定説」に対する「逆説」が強いほど、そのビジネスは「非常識」ととらえられます。この本では100個のビジネスモデルを取り上げていますが、そのどれもが逆説の成り立つような仕組みを作り上げている「すごい事例」です。
全文無料公開も、その逆説の構造のフレームワークで考えてみたわけです。普通、本は買うまで中身がわからない。買わないのに中身がすべて見られる状態にはしないじゃないですか。
──はい。でもそんなことをしたら売れなくなってしまう……。
そう、売れなくなると思ってしまう。そこに逆説があると考えたわけです。これだけ本が売れないといわれている時代に、なぜ売れないのか、どうしたら売れていくのかを考えたんです。
昔は、優れた情報にアクセスする、そのことだけで価値を生んだ。本というのはある意味、優れた情報へのアクセス権を販売するビジネスだったといえます。
しかし、昔と明らかに違うのは、情報量が爆発的に増えているじゃないですか。インターネット環境も整ってきて、アクセスできる情報も膨大になって、ちょっと調べただけで欲しい情報はすぐ得られてしまう。優れた情報に無料でアクセスできてしまうので、本は商売として成り立ちづらくなってきていると思うんです。
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