いい年になったら「行きつけ」の居酒屋を持て

酒と一品頼んで、群衆の中の孤独を楽しむ

1人の時間をゆっくり楽しめるのは、行きつけの居酒屋ならではの至福だという(写真:Graphs/PIXTA)
かつて化粧品広告のアートディレクターとして名を馳せた著者は、今や全国各地の“いい居酒屋”を巡り発信する第一人者。一人居酒屋飲みの至福とは。『酒と人生の一人作法』を書いた居酒屋探訪家の太田和彦氏に聞いた。

人生は20年ごとに節目が訪れる

──だしから取って昼支度、原稿書きは筆が乗っても30分で中断し、レコードに針を落として気分転換。晩酌も一人気ままに一杯。満ち足りた光景が目に浮かびました。

僕が思うのは人生20年節目説。大学出て就職する22、23歳までが成長期。僕は23歳で会社組織に入り、43歳で独立した。いっときデザインを教えていた大学も62歳で退職。だからほぼ20年間隔。

春夏秋冬にたとえれば、成長期が春、いちばん元気がいい会社勤め時代が夏、そして秋に1人になった。20年×4周=80年として、今72歳は最後の冬の時期の真ん中にいるな、というとこ。

──“人生の冬”なんて、何だか寂しい響きですが。

冬っていいものですよ、気持ちが落ち着いて。最近は老後の生き方を説く指南本が山のように出てますよね。この本は、これまで書いた原稿の中から選んで編集しました。そうしたら、60歳以降に書いたものがありありと、指南書代わりの答えになっていた。

リタイアして、友人に「さあこれから遊ぼうよ」と言っても、半年も経てば音信不通になります。周りから人がどんどん去っていく。僕がアドバイスしたいのは、1番に、迷わず居酒屋に行け。2番に、1人旅をしろ。要するに1人で生活することの楽しさを知る。

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