「高エネルギー加速器研究機構」に行ってきた 超難解だけど粒子加速器を知りたい人、必読。

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ここをくぐると幸せになれる?
毎週月曜日、週刊東洋経済と東洋経済オンラインで交互に連載が進んでいく「成毛眞の技術探検」。週刊東洋経済版は図版が充実。それに対し、東洋経済オンライン版は記事のボ リュームが多く、写真も充実。・・・・という具合にそれぞれの媒体の特性を生かした展開をしていきます。第2回目のテーマは「スーパーKEKBと常伝導加速」について。週刊東洋経済11月30日号(11月25日発売)に掲載した記事のオンライン版ですゾ。

 

すわ、盗人(ぬすっと)か!? はたと我に返り、声にしていなかったことに安堵する。あぶねえ、あぶねえ。仕事着を着た男たちが、目の前を横切っただけなのに、あわてちまった。

ボクは本の影響を受けやすい。いま読んでいるのは、何十年も昔に読んでいた『鬼平犯科帳』だ。アマゾンのキンドルは文字を簡単に拡大できるため、老眼にはたいそう都合よく、一時は遠ざかっていた文庫本を読み直すようになったのだ。

調べ物にやってきたのは筑波

このところの鬼平の貪り読みで、日頃の言葉遣いもすっかり江戸風になったようだし、文体もすっかり池波正太郎なりになっちまったようだ。そろそろ冷え込む季節だ。「五鉄」で軍鶏鍋かと決めこんでいたところ、版元の東洋経済から調べ物に行けとせっつかれ、おっとり刀でつくばの加速器処とやらに向かったのだ。

着いてみると、新たなからくりを作っているらしく、さまざまに普請中のようだ。門で今風の作務衣を身につけた大工などがいたのだが、盗人ではあるまいかと隠れて見張ってみたのだが……。

いや失敬。吹くでないない筑波おろしよ。冷たさにうつむきたくなるではないか。

どんな人にも、名前は知っているし、その意味することはわかるがしかし、実態がよくわからないという存在があるだろう。ボクにとってその代表は加速器だ。粒子を加速してぶつけているというのだが、どうやって加速しているのかがわからない。

この目で見ればわかるかもしれない。一縷の望みを胸に、今日はここまでやってきた。こことはすなわち加速器処、高エネルギー加速器研究機構、通称KEKのつくばキャンパスだ。

地下にはSuperKEKB

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FUJIの外観

KEKとはKou Enerugii kasokuki Kenkyu kikoの略。「Kou」っていうところが、いいですね。Energyじゃなくて「Enerugii」というあたりも。

ここの地底には、外周が約3キロメートルにもおよぶ、ほぼ円形(厳密に言えば、角の丸い正方形)の加速器『SuperKEKB(スーパーケックビー)』が埋設されている。

晴れた空、色づいた木々、美しい芝生。どこかで見た風景と思ったら、ゴルフ場だ。敷地面積も約1.5平方キロと、ほぼゴルフ場のようなもの。風はいささかアゲインストだ。

身につけるように、とスタッフからガイガーカウンターを手渡された。早速、加速器の傍まで参ずるわけだが、車に乗っての移動だ。走り始めてすぐに、公道にあるような案内標識が目に入る。直進すると「放射光」、右折すると「トリスタン」に到達するらしい。

ここからは、池波正太郎の世界からSFの世界へとトリップする。

乗車4分。右折の後に到着したのは「FUJI」だった。SuperKEKBには辺の中央あたりに計4つの実験設備収容施設が付属しており、それらのうち南西、富士山が見える方角にあるのが「FUJI」なのだ。

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