深圳の「薬の自販機&遠隔診療機」が凄すぎる 中国のIT進化は伝統産業にも浸透している
中国におけるイノベーションといえば、HUAWEI・テンセントといった電子機器メーカーやネット通販のアリババなど、ITサービスを展開する企業が思い浮かぶことが多いだろう。
しかし、実際の「中国イノベーション」は、IT業界だけではなく、伝統的な産業にまで浸透している。
特に深圳におけるイノベーションのスピードはとてつもなく速い。5か月前のゴールデンウィーク時期に続き、今年9月末も深圳に行ってみたが、またいろいろ新サービスが登場し、古いものが去っていたという感覚がある。その中で、もっとも進歩を感じたのは、薬の自販機と遠隔診療機の合体版との「出会い」だった。
中国では、キャッシュレス社会が急速に進歩するなど、イノベーションが盛んである主な理由として、以前のコラムでリープフロッグ型発展と顧客視点のデザイン・シンキングを筆者は指摘した。
今回は伝統的な産業である漢方薬メーカーのイノベーションを例にして、中国でイノベーションが盛んである別の要因として、「インターネットプラス」と「垂直統合志向」を説明したい。
「薬ひょうたん」って何?
深圳のとある住宅地で見かけた大型の「自販機」に目がとまった。
左側の「康美スマート薬房」は、市販の漢方薬、養生(身体の状態を整える)効果があるお茶、風邪薬、のど飴などが置いてある自販機で普通にどこにでも見かけるものだ。
が、右側の「薬ひょうたん(昔の中国では薬をひょうたんで貯蔵することが多かったので、ひょうたんは薬を連想しやすい)」のタッチパネルを見ると、いろいろ機能が書いている。
「スピーディーな薬購入」「漢方薬薬煎代行」「処方箋購入予約」「オンライン診療」「薬受取り」などである。
この「自販機」を手掛けたのは、「康美(カンメイ)薬業」だ。この名前を知る日本人はほとんどいないかもしれないが、中国の漢方薬業界では大手だ。
1997年に創業し2001年上海証券取引所に上場した。当初、西洋医薬の製造も取り組んだが、漢方薬の将来性を見込み、最近は漢方薬に重点を置いている。
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