中国が超速で「スマホ先進国」になれた事情 日本とはいったい何が違ったのか

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日本では、「格安スマホ」と呼ばれる商品があるが、中高年やスマホに詳しくない人をターゲットとするイメージがあり、なかなか主流にはなっていない。一方、中国の場合は、値段が高いiPhoneやギャラクシーだけでなく、安価なスマホのニーズが以前から根強くあった。

iPhoneを買えないけれどおしゃれなスマホが欲しい学生、地方都市にいてiPhoneは入手しにくいが、スマホで音楽を流してカッコ良く見せたい若者、iPhoneやサムスン製スマホのデザインが若者向けだと感じ、もっと自分に合うスマホが欲しい中高年、キレイに自撮りや食べ物の写真を撮りたい若い世代の女性……。中国ではそれぞれのニーズに応じて、手頃な価格で手に入る自国産のスマホのバリエーションが多い。価格面でも中国産のスマホは高性能の機種でも日本円にして1~2万円程度と割安なために、子供から老人まで普及している。

なぜ、まだ発展途上国の中国が先進的な「スマホ社会」になったのだろうか。

スマホが登場する前の中国は不便だった

中国人にとってスマホがなくてはならないアイテムになったのは、実は簡単なことだ。世界から注目されている中国のEC市場を例としよう。スマホ社会の中国から日本にやって来た中国人は、現金がメインの決済方式であることに驚き、「日本は遅れている!」と感じる。その一方で、百貨店やコンビニなど日本の実店舗を体験して「こんなにすばらしいとは!」と感心するのも彼らだ。日本はどこに行っても品ぞろえがよく、大都市でも地方都市でも生活用品を何でも簡単に買える。

ネットの販売価格と比較しても割高で売っている商品も少なく、日本では安心して買い物ができる。店員のサービスのレベルも高く、提案力にも、おもてなし精神にも感服する。しかもトイレは驚くほどキレイで設備が充実している。「日本のような買い物環境だったら、ネットでなくて実店舗で買ったほうが良さそう」というつぶやきもまた、彼らのホンネなのだ。

日本の場合、百貨店、GMS(総合スーパー)、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター、通信販売など販売チャネルがすでに効率化・多様化しているなかで、ネットショッピングという販売方式が出てきた。そのため、ネット販売への移行はそれほど急激ではなかった。また、スマホ以前にパソコンが広く普及していたため、ネット利用も主にパソコンで行う状況がしばらく続いていた。

一方、中国はというと、流通構造の革新が遅れたままだったため便利さを求める消費者が一気に実店舗からスマホを利用したネットショッピングへと移行した。一歩ずつの進歩ではなく、一足飛びに最先端の環境に追いつく「リープフロッグ(カエル跳び)現象」と呼ばれる事態が起こったのだ。すなわち、実店舗の効率化・多様化が進んでいなかったがために、旧態依然とした実店舗での購入から一気に最新の販売方式であるスマホベースの購入へとジャンプアップしたのだ。

中国の実店舗販売には、様々な問題がある。消費者から見てわくわくするような場所ではないし、経営者も苦しい経営にあえいでいる。不動産価格の高騰により、店舗の賃借料は右肩上がり。ショッピング向きの場所は競争が非常に激しいうえに、賃借料はますます高くなる。

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